2021.07.07 【ルームエアコン特集】高級タイプへ買い替え促進在宅増で稼働日数増える

商戦のピークを迎えたエアコン。暑さの到来とともに一気に弾みがつきそうだ

 ルームエアコンは、いよいよ夏本番の時期を迎えた。今年は梅雨入りが早かったことから、エアコンの稼働も早く、商戦も比較的前倒しで進んだ。暑さが本番を迎えて、商戦は一気にピークとなりそうだ。快適、清潔、省エネなど、各社の最新フラッグシップモデルを中心に、高級タイプへの買い替え促進が重要となる。

 ルームエアコンは、昨年度のコロナ禍で在宅時間が伸びたことから、業界としては初の1000万台超えの出荷台数を記録するなど、市場は拡大している。

 巣ごもりで清潔・快適志向が高まり、室内空気質への関心も強く、さらに暑さの到来で懸念される熱中症対策に欠かせない設備として、引き続きルームエアコン買い替え・買い増し需要は堅調に推移すると見られる。

今期も好調な滑り出し

 ルームエアコンの需要は、2021年5月に入っても好調で、日本冷凍空調工業会のまとめによると、5月単月は前年同月比7.4%増の101万7000台となり、8カ月連続のプラスとなった。

 同工業会によると、在宅時間の増加により、引き続き好調に推移していること、また、早期試運転キャンペーンなどによって出荷の早期化が進んだことが要因という。

 今年は梅雨入りが早く、エアコン除湿運転など、早めに動かすユーザーも増えたようで、エアコンの稼働日数が伸びており、それに伴い買い替え需要の顕在化にもつながったようだ。

 業界筋によると、6月に入ってからはやや出荷ペースが鈍り、思ったほどの商戦の加速は見られなかったようだが、今後梅雨明け、猛暑到来となると、商戦も一気に弾みがつくことになりそうだ。

 21年度の出荷台数は、初の1000万台超えとなった20年度には及ばないものの、依然として900万台以上の高水準の需要が続くと見られる。

 近年のエアコン市況を見ると、従来のようにお盆のころには商戦が一段落するという形ではなく、比較的残暑が厳しいと、商戦が8月後半くらいまで長く続くことも多い。業界にとっては気が抜けない時期が続く。

 エアコン暖房能力の向上や寒冷地エアコンの投入で、冬場の暖房機としてのルームエアコン需要も高い。また、寒冷地域での普及も進むことから、市場の裾野は拡大している。

 今夏商戦では、厳しい半導体市況の影響を受け、商品供給に一部支障を来すケースも見られるようだが、各社商品供給体制には万全の体制を敷いて、市場に臨んでいる。やや不透明感はあるものの、堅調な推移が見込めそうだ。

 ルームエアコンは、コロナ禍によって在宅時間が伸びたことから、稼働日数も増えている。このため、エアコンの経済性(省エネ性)に対するニーズも強まっている。買い替えを求めるユーザーには、APF(通年エネルギー消費効率)が高い各社のフラッグシップモデルの提案が重要となる。

 また、こまめなフィルター清掃など、省エネ的なエアコンの使い方についての啓発活動にも各社は力を入れており、賢いエアコンの使い方について、あらためて店頭で訴求することも重要だ。

 各社の最新フラッグシップモデルについては、フィルターの自動清掃機能や熱交換器の自動洗浄機能、除菌・抗菌機能など、衛生面に配慮した機能開発も活発だ。

 フィルター自動清掃など、メンテナンスの省力化につながる機能は、在宅時間が伸びて家事ストレスが増大する中、負担軽減につながる特長としても訴求効果が強い。

 商戦ピークを迎えるこの時期においても、最新モデルの高機能についてあらためて訴求を強め、付加価値の高い提案に取り組むことが求められる。