2021.08.06 【SMT/SMD特集】KOA長辺電極形チップ抵抗器など充実

長辺電極角形チップ抵抗器WK73R

 KOAは、長辺電極形状のチップ抵抗器や低温同時焼成セラミックス(LTCC)多層基板などのラインアップを充実させている。

 近年、自動車、産業機器、通信などあらゆる分野で多機能・高機能化が進み、電子機器で使用される電子部品数が増加している。一方、限られた実装スペースで部品が高密度実装されるため、抵抗器の放熱性が課題になっている。このため、従来のチップ抵抗器は短辺側に電極を設けるのが一般的だったのに対し、長辺側に電極を設けて放熱性を高めた長辺電極形状のチップ抵抗器の普及が加速している。

 長辺電極形チップ抵抗器は放熱経路となる電極の面積を大きくすることで、高い定格電力と放熱性を実現。例えば3216サイズのチップ抵抗器で、従来の短辺電極品(同社品名=RK73B2B)と長辺電極品(WK73R2B)の熱抵抗を比較すると、短辺電極品の熱抵抗は55K/W、長辺電極品の熱抵抗は17K/Wと長辺電極品は同サイズでありながら、従来の短辺電極品の3分の1の熱抵抗に抑えられ、放熱性に優れる。長辺電極品は電極間が短いため実装基板と部品の熱膨張率の違いから生じるヒートサイクル耐性(ハンダ接続信頼性)の点でも有利。

 同社はこの長辺電極形状のチップ抵抗器の開発に力を入れている。0510~3163サイズまで業界一の豊富なサイズラインアップで、さまざまな用途に対応するため耐パルス品(WG73シリーズ)、低抵抗品(WK73Sシリーズ)、低抵抗高精度品(WU73シリーズ)、耐硫化品(WK73-RTシリーズ)と特性ラインアップも幅広くそろえている。

 放熱性、抵抗の接続信頼性を高めるために、セラミックス回路基板に直接抵抗素子を形成する方法も採用している。同社はアルミナ基板への厚膜印刷回路KAシリーズに加え、LTCC多層基板KLCシリーズをラインアップ。LTCC基板では表層、内層に抵抗素子を直接印刷形成することが可能。基板と一体化して放熱性が高く、はんだなどの接続部を持たないために信頼性の高い抵抗が実現され、多層構造によるモジュールの小型化と併せて自由度の高い設計に寄与している。