2021.08.10 再エネ推進 施策要望も
比率引き上げのエネ基素案
太陽光や風力の業界団体
国のエネルギー政策の方針を示す第6次エネルギー基本計画の素案で、再生可能エネルギーの比率が大幅に引き上げられたことを受け、太陽光発電協会(東京都港区)は「賛同する」との意向を表明した。同協会は当初、2030年度の導入目標を設備容量100GWとしていたが、50年カーボンニュートラル宣言後に同125GWへ上方修正した経緯があり、素案での引き上げを「考えに合致した内容だ」と歓迎する。
同協会にはパネルメーカーからエネルギー事業者まで広く加盟している。125GWの導入で、年間1530億kWh程度の発電量が想定されるという。同協会は国に対し、「決して簡単なことではないが、国、自治体、国民、事業者が一体となって本気で取り組めば、125GWの野心的目標の達成の道筋も開かれてくる」との意見書を提出した。
素案では、30年度時点の新たな電源構成で、総発電量に占める再エネの比率を「36~38%」とし現行目標から10ポイント以上引き上げた。内訳は太陽光が最多の約15%とされ、地熱(約1%)、水力(約10%)、バイオマス(約5%)などを大きく上回ることが示された。
こうした目標達成のため同協会では、さまざまな取り組みを進める。
再エネ固定価格買い取り制度(FIT)に頼らない自家消費型を普及させるため、第三者所有モデルや、電気自動車(EV)を活用したV2Hなどと組み合わせて利便性を向上させる。エネルギー消費を実質ゼロにするネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の普及も促す。
住宅分野での太陽光パネルの導入は、大手ハウスメーカーによる新築住宅が大半を占めているのが現状だという。そのため、中小工務店や、建売一戸建て住宅でも導入拡大を目指す。
想定のずれも
国への意見書では、耕作放棄地など農業分野での導入を円滑に進めるための制度整備のほか、自治体が推進地区を設けて優遇策が打てる「ポジティブゾーニング」の仕組みづくりなどを要望した。
一方、素案で30年度時点の総発電量の内訳を約6%とされたのが風力発電だ。
風力発電業界では、注目されている洋上風力10GWに加え、陸上風力で10GW以上の導入が見込まれており、総発電量の8~10%程度に達するとの想定があった。ただ、長引くコロナ禍の影響で、洋上風力開発の一部の手続きが遅れ気味になっている面があるとされる。
約450の関連事業者や自治体などが加盟する日本風力発電協会(東京都港区)は、「さらなる積み上げを目指して、国と協議を進めている」とする。
協会として、洋上風力のポテンシャルが高い北海道や九州での送電網のさらなる整備などを求めているという。