2021.08.23 浜松ホトニクスが世界最小のQCL次世代火山ガスモニタリングシステム実現へ

世界最小サイズの波長掃引QCL

 浜松ホトニクスは独自のMEMS(微小電気機械システム)技術と光学実装技術を活用し、同社従来製品の約150分の1の世界最小サイズ波長掃引量子カスケードレーザー(QCL)を開発した。

 同レーザーは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「IoT社会実現のための革新的センシング技術開発」プロジェクトの一環として、同社と産業技術総合研究所(産総研)が全光学式で小型・高感度、高メンテナンス性を備えた次世代火山ガスモニタリングシステムの実現に向けた研究開発に取り組んでおり、同社は分析装置向け光源の小型化を進めてきた。

 このほど、中赤外光(目に見える可視光よりも波長が長い赤外光の一種で、波長4~10マイクロメートルの赤外光)の波長を7~8マイクロメートルの範囲で高速に変化させ出力する、世界最小サイズの波長掃引QCLを開発。産総研が開発した駆動システムと組み合わせることで、高速動作と周辺回路の簡略化が実現でき、光源として分析装置などに搭載することが可能になる。

 火山の噴火予知では、噴火の数カ月前から濃度が上昇する火山ガス中の二酸化硫黄(SO₂)や硫化水素(H₂S)などをモニタリング。同レーザーはこれらガスの検出感度やメンテナンス性を高め、火口付近で火山ガスの成分を長期間、安定的にモニタリングする用途へ展開する。

 また、化学プラントや下水道における有毒ガスの漏えい検出や、大気計測などへの応用も目指す。