2021.11.02 日系大手電子部品メーカー各社、業績拡大続く4~9月連結決算、大幅な増収増益
需要拡大が続く電子部品(ロームの厚膜シャント抵抗器)
大手電子部品メーカー各社の業績拡大が続いている。11月1日までに発表した電子部品主要7社(京セラ、村田製作所、TDK、日本電産、アルプスアルパイン、日東電工、ローム)の22年3月期連結中間決算(21年4~9月)は、全社が大幅な増収増益となった。自動車のEV化や自動運転技術の高度化、第5世代移動通信規格5Gの本格化、巣ごもり需要増大、IoT(モノのインターネット)やAIなどをキーワードとした新たな電子部品需要創出が各社の業績拡大を支えている。
今年度上期は、半導体不足の深刻化や、新型コロナによる海外工場の操業制限などの影響があった中でも、多くの電子部品メーカーが過去最高の売上高を計上した。電子部品の主要用途である自動車、ICT関連、産業機器などの市場がそれぞれ堅調に推移し、電子部品需要を活性化させた。コロナ禍での先行き不透明さや米中摩擦長期化などを背景に、自動車業界などで部品在庫を通常より増やす傾向にあることも、電子部品受注を増大させている。
村田製作所は上期は売り上げ・営業利益ともに半期での過去最高を更新した。特にカーエレクトロニクス向け売り上げは前年同期比50.9%増と大幅に伸長した。9月末時点の受注残高も過去最高となった。TDKも上期は売り上げ・営業利益ともに過去最高を更新。同社は今年度通期の売り上げおよび利益予想を上方修正し、通期売上予想を従来の1兆6000億円から1兆8000億円へと一気に2000億円増額した。
一方で、下期の電子部品需要に関しては、半導体不足の深刻化や、素材高騰、物流費高止まり、さらに中国でのエネルギー不足に伴う工場の操業制限などさまざまな不透明要因があることから、やや慎重な見方が強まっている。特に半導体不足の問題は、「当初の予想よりも長期化する」との見方が広がっている。電子部品メーカーの多くは海外売上比率や海外生産比率が5割を超えるが、海外での新型コロナ再拡大の動きも懸念されている。
(記事の詳細は、11月3日付電波新聞・電波新聞デジタルに掲載します。)