2021.11.24 政府、石油備蓄を放出へ「数十万キロリットル売却」、米国に協調


 政府は24日、米国バイデン政権が石油の備蓄を放出する方針を決めたことを受けて、協調して国内でも放出すると表明した。国内でも値上がりするガソリン価格を抑制するため、市場に流通する石油量を一時的に増やし、価格を安定させる狙いがある。

 災害などで特定地域に石油供給が不足する事態を避けるため、国は1978年度から「国家備蓄」を始めた。9月末時点で、国内の石油消費に基づく換算で145日分(原油4545万キロリットル)ある。

 萩生田光一経産相は24日、このうち「数十万キロリットルを前倒しで売却する」と表明。国内では1日30万キロリットル程度の消費があるため、1~3日分程度に相当する。

 通常、備蓄分の一部を新たな原油に入れ替えるため市場で売買しているが、売却分を市場で入札するタイミングを前倒しすることで一定量を供給する考えだ。入札の参加者は国内外を問わないという。

 資源エネルギー庁は「石油備蓄法などに逸脱しない範囲内で、無理のない対応を取る」と話す。具体的な売却量や入札時期などは今後、精査していくという。事実上、油価の安定のために備蓄を放出するのは初めてとみられる。