2021.12.24 デジタル社会の実現へ、政府が重点計画決定産業育成や技術開発も支援
記者会見に臨む牧島デジタル相=24日、デジタル庁
政府は24日の閣議で、デジタル社会の実現に向けた政策の道筋を示した「重点計画」を決定した。具体的な施策の達成時期を示した工程表などを盛り込んだ。デジタル政策の司令塔を担うデジタル庁が、各府省と連携しながら国民生活の質向上を目指すほか、医療や教育をはじめとする分野横断的なデータの活用やデジタル産業の育成にも注力する。
今回の重点計画は、デジタル庁発足後初めて策定した。計画に明示した国民向け施策の一つが、新型コロナウイルスの感染対策など緊急時の行政サービスのデジタル化。20日には新型コロナのワクチン接種を証明するスマートフォン向けアプリケーションの提供を始めており、アプリの利用状況を踏まえて必要な改善の検討を進める。 マイナンバーカードについては健康保険証としての利用を促すほか、24年度末に同カードと運転免許証を一体化する。
さらに、産業全体のデジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)を加速して国際競争力の強化につなげる方向も明示。中小企業の事業環境をデジタル技術でサポートする課題にも対応してIT専門家を派遣するほか、中小向けセキュリティー対策支援サービスの普及も促す。
岸田文雄首相は首相官邸で同日開いたデジタル社会推進会議で、同庁を中心に各府省が緊密に連携して「可能なものは前倒ししつつ着実に成果を上げてほしい」と呼びかけた。牧島かれんデジタル相は同日の閣議後会見で岸田首相の指示を踏まえて、「政府一丸となって迅速かつ重点的に改革を推進していきたい」と力を込めた。
今後は同庁が粘り強い調整力とリーダーシップを発揮し、計画の実効性を高められるかが焦点となりそうだ。
(27日付の電波新聞、電波新聞デジタルで詳報します。)