2022.01.14 【電子材料特集】各社の事業展開ランクセス
大久保 日本統括マネージャ
旺盛な需要に対応
各製品の安定供給を続ける
ランクセスは、ドイツの大手特殊化学品メーカー。エンジニアリングプラスチック(エンプラ)、中間体、難燃剤など多様な製品を供給しており、幅広い産業分野の発展に貢献している。
難燃剤を含む添加剤事業は、ポリマーアディティブス・ビジネスユニット(BU)が管轄。同BUは①臭素系難燃剤②プラスチック添加剤③機能性色剤―を扱うビジネスライン(BL)で構成され、主に電機・電子、自動車、建築分野に製品を供給している。
2021年度はどの分野も高水準の需要が続き、難燃剤、樹脂添加剤とも好調に推移した。物流の混乱などはあったものの、大きな影響を受けずに乗り切った。22年も好調な流れは続くと見込み、市場の状況やサプライチェーンの情報を把握し、製品の安定供給を続ける。
世界中で環境意識が高まる中、各国政府による化学物質規制の動きにも注視する。規制に関する情報があれば詳細について確認。同社では多種多様な製品を有し、代替品の提案も可能だ。
同BUの大久保雄二日本統括マネージャは「米国の有害物質規制法『TSCA』により一部の製品へ規制がかかった際、代替製品を迅速に提案し切り替えたことがあった。顧客にとっては規制対象となる可能性がある製品を長期的に使うのはリスク。当社の豊富なポートフォリオを生かし、顧客のリスク回避につなげる」と話す。
同社は用途に応じて臭素系・リン系含め、幅広い難燃剤を提供している。特に臭素系ではポリマー系難燃剤と反応性難燃剤を取りそろえる。ポリマー系難燃剤は、臭素系難燃剤の中でも含有化学物質が動植物に取り込まれにくい。環境に配慮した持続性ある製品の開発を進め、さらなる事業拡大を図る。
22年度は昨年買収した米エメラルド・カラマ・ケミカル社の製品展開も本格的に開始。工業用途では非フタル酸系可塑剤をポリマーアディティブスBUのラインアップに加え幅広い分野に提案する。
大久保統括マネージャは「21年から続く好調な動きもどこかで転換点が訪れる。市場の動きや状況を見極め、迅速に動けるようにしたい。旺盛な需要や環境配慮型社会の実現に向けた動きは当社にとって追い風。しっかりと流れに乗り、持続的な成長につなげる」と意気込む。