2022.01.17 官民で「インフラDX」加速へ国交省が3月末までにアクションプラン策定

列車の安全運行に必要な空間を可視化したイメージ(提供=NEC)

 建築物や道路などのインフラ分野をデジタルの力で変革する官民の動きが加速しそうだ。主導するのは国土交通省で、3月末までにデジタル変革の道筋を示すアクションプランをまとめて公表する。この領域で民間のデジタル投資や技術開発を促すきっかけにもなりそうだ。

 アクションプランは、インフラ分野のデジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)の推進策について議論する「国土交通省インフラ分野のDX推進本部」の成果をベースにまとめるもので、将来像や各種施策の工程表などを示す。

 国交省によると、既にインフラ分野のDXを支援する「国土交通データプラットフォーム(基盤)」の構築事業を推進。官民が保有する多彩な技術やデータを連携させ、基盤上で必要なデータの表示や検索、ダウンロードを行えるようにした。連携させるデータの数は2025年度までに約150万件に引き上げ、活用できるようにする。

 IT業界からも、インフラのDXを後押しする成果が続々と登場。鉄道業界で高まる検査業務の省力化ニーズに応える「列車巡視支援システム」を実用化したのがNECだ。具体的には、営業列車の車両先頭に設置したステレオカメラを用いて、走行時に撮影した線路の沿線環境の映像を解析。解析結果を基に、安全運行を妨げる枝などの支障物が進路方向にないかを自動的に検知する。

 東芝は昨秋、インフラの保守点検作業の効率化につながる世界初の人工知能(AI)を開発。高所や斜面など点検が困難な場所に近づくことなく、道路や橋のひび割れなどのサイズを高精度に計測できるようにした。

 社会インフラを巡っては、インフラの老朽化対策や災害対策の必要性が高まる一方、維持管理や更新を担う人材の不足も深刻化。デジタル技術を駆使してこうした課題の解決を手助けする各社の出番が広がりつつある。
(1月17日付電波新聞・電波新聞デジタルに詳報掲載。)