2022.01.19 【ネプコンジャパン/オートモーティブワールド特集】カーエレクトロニクスの動向 CASEなどメガトレンド
米テスラの電気自動車「モデル3」
脱炭素化でxEVの動き活発
自動車市場では、「CASE」や「MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)」をメガトレンドとした次世代自動車開発や新たなモビリティーサービス開発が盛んになっている。特に最近は、世界的な脱炭素化要求からxEV化の動きが加速。自動運転車の開発競争も激化している。こうした車の技術進化に向け、電子部品・素材メーカーは次期ニーズを捉えた車載用電子部品・モジュールや電子材料開発を一層活発化させている。
車の世界生産台数は、乗用車と商用車を合わせ、2010年代後半には年間9000万台超に拡大した。しかし20年は新型コロナに伴う企業活動の停滞などにより7600万台前後まで急減。21年も半導体不足が響き、8000万台弱の水準にとどまった。
一方で車載用電子部品市場は、車の高機能化やxEV化を背景に21年も高い成長を達成した。半導体不足やサプライチェーンの混乱を踏まえたティア1などの部品在庫引き上げも部品需要を押し上げた。
CASE(コネクテッド、オートノマス、シェアード&サービス、エレクトリック)は、モビリティー革命をけん引するメガトレンドだ。
中でも電動化は市場変革の最大のキーワード。各国政府のCO2排出規制やカーボンニュートラル方針が相次いで打ち出され、20年後半以降、xEV化の動きが加速している。
通常のガソリン車は車両1台で3万点前後の部品が搭載される。一方、BEV(バッテリーEV)は部品点数が2万点以下に減るとされるが、電子部品に関しては、EV化で車両1台当たりの搭載点数が着実に増加。EVと親和性の高い自動運転技術も電子部品・モジュールの新規需要を創出する。
自動運転車は今後、「自動走行レベル2」の普及に弾みがつき、23年以降は「レベル3」の本格化が見込まれる。20年代半ば以降は車載5G(第5世代移動通信規格)適用も進み、自動運転の高度化を後押ししている。
乗員の快適性のための機能付加も電子部品需要を創出。モジュール化戦略を進める部品企業も多い。モーター業界ではモーターにポンプや減速機、コントローラーなどを付与し、開発初期からモジュール製品として設計する企業もある。EVの電費向上や1充電当たりの走行距離向上のため、部品軽量化も追及される。
■電動車部品
xEVではモーターを駆動するため、インバーター、DC-DCコンバーター、車載充電器、電池システムなどのユニットに多くの電子部品が使われる。
モーターには、小型・高出力化のため、高い耐熱力と磁性を両立する高性能マグネットを使う。インバーターやコンバーターは小型かつ高効率が求められ、高電圧で駆動するパワーデバイスが不可欠。通常のIGBTはシリコンウエハーを使用するが、最近はSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)などのウエハーを用いたパワーデバイス開発が活発化している。
これに伴い、コンデンサー、抵抗器、トランス/コイルなどの周辺部品では高周波スイッチング、高電圧対応の製品開発に勢いがついている。コンデンサーは小型、大容量、長寿命、低ESRなどの特性が重視され、抵抗器は小型で高電圧、大電力、低抵抗などが追求される。トランスやコイルは、小型で低損失、高効率化が進展。車載充電器は小型で高速充電が求められ、小型・大容量のアルミ電解コンデンサー開発などが活発だ。
■ADAS/自動運転関連部品
自動運転では、車外通信の高度化や高精度な物体認識、車両制御、AI(人工知能)を含む情報処理など、多彩な技術の融合が必要。部品への信頼性要求も極めて高い。電子部品各社はこれらの実現に向け、センサーや制御デバイス、通信デバイス、撮像系部品、大容量高速伝送用部品などの開発を活発化させている。
自動運転向けセンサーヒュージョンでは、高画素カメラやミリ波レーダー、LiDAR(ライダー)などの開発が活発。走行中の車の周辺情報を高精度認識するため、近距離検知、中・長距離検知など目的別にセンサーが開発されている。LiDARは機械式に加え、ソリッドステート式の開発が盛ん。カメラは高画素化と伝送速度向上のためのデジタル伝送化が進む。自動走行時の安全性のため、ノイズ対策部品技術も高度化している。