2022.02.10 アイロボットが障害物を学習するロボット掃除機前面にカメラ搭載の「ルンバj7」

「ルンバj7」について語る挽野社長

アイロボットの製品群アイロボットの製品群

多様化する生活スタイルに応える

 アイロボットジャパンは、前面に搭載したカメラで障害物を見分け、クラウド上でAI(人工知能)が障害物を学習するロボット掃除機「ルンバj7」(税込み9万9800円)をきょう10日に発売する。ごみを自動収集するクリーンベース付きの「j7+」(同12万9800円)もそろえ、多様化する生活スタイルに応えていく。

さまざまなライフステージに合わせて選択できる製品群

 これまで、単身世帯でも購入しやすいよう価格を抑えた「ルンバe5」や、掃除性能やナビゲーション技術を駆使した最上位機種「ルンバs9+」など、さまざまなライフステージに合わせて選択できる製品を発売してきた。挽野元社長は「j7は、全機種の中で一番ロボットとして便利に使える」と自信を見せる。

 j7は、「PrecisionVision(プレシジョンビジョン)ナビゲーション」を新たに搭載した。機体の前面にカメラを設置することで、目の前にあるコード類や靴下など、障害物を識別して回避する。ユーザーの家庭で障害物を検知すると、任意でその画像を提供することでクラウドに収集。AIが分析し、3カ月に1度程度の頻度でソフトウエアアップデートを行い、回避できる障害物が増えていく予定。「ユーザー参加型」で機能も改善していく。

家庭用ロボットの累計販売台数が世界で4000万台突破

 ルンバなどアイロボットが展開する家庭用ロボットの累計販売台数は、世界で4000万台を突破。日本国内のルンバ世帯普及率は2022年で8.3%に到達した。

 挽野社長は「国内において、ロボット掃除機はまだまだ伸びしろがある。既存ユーザーの買い替えや買い増し、新規ユーザーの獲得など、認定販売店の力を借りながら進めたい」と話す。同社は、「ロボット掃除機 一家に1台」をスローガンに、23年までに全国世帯普及率10%を目指す。

 ロボット掃除機を使ったことがない人は「本当にキレイになるのか」と疑問を持ちがちだ。そうした潜在ユーザーに〝お試し〟で使ってもらえるように、同社は、ルンバや床拭きロボット「ブラーバ」を2週間試すことができる定額制(サブスクリプション)サービスを用意している。2週間の体験を終えると、約半数が購入するという。

 挽野社長は「一度使うと、ロボット掃除機は生活必需品と感じるユーザーが多い」と強調する。新製品であるj7もサブスクを利用できるため、障害物を回避するルンバの進化を、気軽に体験しやすい。

 販売店では、リビングや寝室など住空間をイメージした売り場を作り、ルンバの実演を行う。「少しでもリアルな体験として実感いただけるよう、売り場の作り込みも行う」と挽野社長。自宅での利用シーンをイメージしやすくすることで、購入につなげる狙いだ。

 店舗ではコロナ禍で集客が難しい状況だが、在宅時間が増えることを好機と前向きに捉え、家事負担の軽減をアピールしていく考えだ。挽野社長は「掃除はマイナスをゼロにする家事。そこはロボットに任せて、人はゼロからプラスにする部分を担ってほしい」とルンバの有効活用を提案している。

 同社は、実用的なロボットで豊かな生活を提供するという思いはそのままに、今後も製品開発を続けていく。

 掃除を終えて戻ってきたルンバからごみを自動収集するクリーンベースは、より幅広い層に使ってもらうことを目指す。専用ソフトウエア「iRobot Genius(アイロボット ジーニアス)」も継続的にアップデートし、スマートホームの〝核〟にしていく。

 挽野社長は「今はまだ真のスマートホームとは言えない。ジーニアス一つにあらゆるアプリを統合し、全ての操作などを完結させたい、ジーニアスを家のOSにしたいという夢がある」と力を込めた。