2022.03.18 【九州・山口産業特集】人吉アサノ電機ピーク電力システムが好調
浦川 社長
金融や電力と連携で普及へ
人吉アサノ電機(熊本県人吉市)は、空調設備の電力ピークを無線で監視・制御できるシステム「エレワイズ」の引き合いが増えている。中小企業でもSDGsを推進する動きが活発化しており、省エネ効果を高める手段として注目されている。今後は金融機関や大手電力会社との連携でさらなる普及を目指す。
エレワイズは工場のほか、病院、学校、金融機関、官公庁など約300社への導入実績がある。世界的な半導体不足の影響を受け、確保に1年かかる部品もあるが、不足しやすい部品を早めに確保することで滞りなく供給できているという。
今年度(9月期)から新社長に浦川敬氏が就任。オムロンから受託しているマグネットリレー事業のほか、自社事業のエレワイズ事業が好調で、第1四半期(21年10~12月)の売り上げは前年比123%を達成。営業利益も同200%となり、浦川社長は「良いスタートになった」と手応えを語った。
空調だけでなく、二酸化炭素やアンモニア濃度なども一括で管理できる新製品「エレワイズキャプチャーエディション」を1月から発売。現在は既存のエレワイズの引き合いの方が多いが、顧客のニーズを掘り起こし提案を進めていく方針だ。
同社は1月から同県や福岡県などの銀行4行とコンサルティング契約を締結。銀行では中小企業のSDGsへ理解を深める動きが活発化しており、同社のエレワイズを具体的な環境対策として取引先に紹介する。
コンサルティングスタッフが製品の魅力や機能を正確に伝えられるように、セミナーも毎月開催している。効果も表れており、医療施設など3、4社から新規注文があったという。
4月からは大手電力会社との協業も開始する。電力会社が提供するデマンド監視装置とクラウド連携して、空調をエレワイズで制御できるサービスを訴求する。
新社長として浦川社長は、業務改善などの働き方改革も推進。4月には地元高校の卒業生を採用する予定で「上京せずに地元に残りたいと思える会社」を目指すという。