2022.03.24 【電子部品メーカー・商社 中国拠点特集】 変革を遂げる中国の日経電子部品工場上海意力速電子工業有限公司 イリソ電子工業
姚 総経理
車載用コネクター中心、徹底した高品質を追求
イリソ電子工業の上海工場「上海意力速電子工業有限公司」は、車載用コネクターを中心とする製造拠点として、徹底した高品質を追求している。
同工場は来年で設立30周年。生産する製品の約85%が車載向けで、2021年にはオールクリーンルーム化を図った。日本と同等の品質・納期の達成により顧客ニーズに応えている。「上海ではフローティングBtoBコネクターを主力に、比較的難易度の高い製品を生産している。22年度から23年度にかけ、新製品の高速伝送対応0.5ミリピッチ電源付きBtoBコネクターなども立ち上げる計画」(姚海平総経理)。
上海工場は、メイン工場の松江工場と分工場の天馬工場で構成。松江工場はコネクター組み立てと成型、天馬工場はピン製造なども実施する。プレスやめっき工程は新工場の南通工場(南通市)に移管した。20年10月には上海R&Dセンターを上海工場の隣接地に移転した。「上海R&Dセンター移転で、顧客の要求に、より迅速に対応可能になった。現地顧客が要求する品質・スピードの実現により、顧客の信頼に応えていく。工場とR&D部門が連携し、地産地消で対応することで中華圏の売り上げ拡大を目指す」(姚総経理)。
同工場は自動化による生産性改善を強力に進めており、計56台のロボットを稼働。製造工程のほか、検査や梱包部門でもロボットを導入し、省人化を図っている。「省人化により従業員数は当初の約3900人から現在は約680人まで減少した。一方、売り上げは3900人当時から倍増している」(姚総経理)。最近は少量多品種対応として、1台で10品種ぐらいの生産が可能な汎用(はんよう)性に優れたマシンの導入を強化している。
ESGの一環として、今年3月末をめどに工場に太陽光パネルを設置する。能力31万kWhで年間300トンのCO₂排出量削減を目指す。女性幹部への支援にも力を注いでいる。
同工場の22年度(23年3月期)売り上げは約2割の増収を目指す。「22年度は新製品の生産も増加する。需要に合わせ、ロボット導入も順次進める」(姚総経理)。