2022.03.25 「海のグーグル・マップ」や資源開発を産学連携のコンソーシアムが構想
コンソーシアムの描く未来像(提供=同コンソーシアム)
海でもグーグル・マップのようなインフラを整え、新産業を創出する。そうした構想を描くコンソーシアムが、実現へ活動を本格化させる。エレクトロニクス業界を代表する立場で、JEITA(電子情報技術産業協会)が進めている共創プログラムの一つ。アクア(水中)をLAN環境のように結ぶことをめざすALAN(エーラン)コンソーシアムと名付け、2018年から活動してきたもので、最新の取り組みを今月、メディア向けに発表した。海洋資源などが国際的にも問題となる中、資源開発にもつながるとみる。海洋大国として、先端材料・デバイスなどに取り組んでいく。
青色LEDで知られる日亜化学工業やKDDI総研、浜松ホトニクス、太陽誘電といったエレクトロニクス・通信関連の企業や、海洋研究開発機構(JAMSTEC)、東工大など計26団体が参加している。
水中では音波による無線通信が多く、「最後のデジタルデバイド領域」とも言われ、LEDを使った光無線通信技術も注目されている。コンソーシアムは、水中でのIoTをめざし、青色など光無線技術や、音波、有線技術を組み合わせネットワークを構築することをめざすとともに、LiDAR開発や、水中光無線給電にも取り組んでいる。
当初は「本当にできるのか?」とも言われたが、この2年ほどで基礎的な実験に成功。特に水中光無線通信では相模湾沖の水深1000メートルの水域で、1Gbpsで100メートルの通信に成功。これは「知る限りでは、世界初のレベル」という。それを踏まえ、新年度からめざしている一つが、ケーブルなどがなくても自由に動ける水中ドローンの活用。海底調査や洋上風力をはじめインフラ点検、さらに、養殖施設のモニターなども一気に効率化できるとみる。さらに、「バーチャルツアー」が最近人気だが、水中ロボットからの映像を陸上で視聴する「VR水族館」など、新たなツーリズム産業も見込めるという。
「いわば、海でもグルーグルマップ、ストリートビューができるようなイメージです」とコンソーシアム。当面、ハードだけでも数百億円の規模の市場が見込め、海洋ビジネス全体では、兆円単位の市場ができてもおかしくない、と期待する。文字通りの「ブルーオーシャン」をめざす。
(28日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)