2022.05.13 【ルームエアコン特集】電気代高騰、省エネ性能に関心早期提案で買い替え促進

今年もさまざまな観点でルームエアコンの早期提案が重要だ

 今年は全国的に梅雨入りが早まりそうで、その後、西日本地域など暑い夏を迎えそうだ。ルームエアコン商戦の本格化に備え、早期提案がより重要となっている。電気代高騰が続く中、省エネエアコン提案の重要性も増している。

 ルームエアコンの需要は、コロナ禍で在宅時間が増えたことを反映し、2020年度は出荷台数が1000万台を超え、過去最高となったことから、21年度はその反動で、前年比92%の929万2000台(日本冷凍空調工業会〈JRAIA〉まとめ)にとどまった。ただ、22年3月単月の出荷台数は前年比2.6%増の101万1000台となり、過去2番目の出荷台数を記録するなど、早期提案が奏功して好調だった。

 21年度通期も前年を割り込んだものの、依然として900万台を超える高い水準で推移している。業界の見方では22年度も引き続き920万~930万台程度の需要が見込めるという。

 買い替え・買い増し需要を中心に、寒冷地域への普及も高まり、堅調な需要は今後も続くとみられる。

 特に、新しい生活様式の定着で室内空気質への関心が高まり、快適、清潔を切り口とする機能向上を図った高機能モデルの販売構成比が高まりそうだ。併せてエネルギー危機の高まり、電気代の値上げ、さらにエアコン運転時間の増加などを背景に、より省エネ性能に優れた高機能エアコンへの関心も高まる。

 こうした背景から、今期も早期提案の加速とともに、省エネ、快適・清潔といった総合的な機能が進化した高付加価値モデルの提案をより一層強化することが重要となる。

 ■商戦本番前に早期提案

 夏場の本格的な冷房シーズンに向けて、経済産業省をはじめメーカー各社では、早い段階でのエアコン試運転を推奨している。

 夏場に商戦が本格化した段階でルームエアコンの不具合が見つかり、修理や買い替えをしようと思っても、販売店が迅速に対応することは難しい。このため、熱中症対策で必需品でもあるルームエアコンについては、早期に点検を図って不具合がないか確かめておくことが大切だ。

 コロナ禍で在宅時間が伸びたことで、ルームエアコンの利用時間も増加しているため、入念に点検することが望ましい。

 パナソニックは、昨年夏にルームエアコンが2週間以上使えなかった「エアコン待機者」の実態を把握する調査を行った(昨夏エアコンを購入した、または修理した人対象)。それによると、エアコン待機者は修理・購入合わせ、全体で約3割に上ったという。店頭・もしくはネット購入完了から自宅でエアコンが使えるようになった期間を聞くと(n=235)、「少し時間がかかった」(2週間~3週間)が28.9%、「かなり時間がかかった」(1カ月以上)ケースも1・3%となった。

 修理依頼をしてどれくらいの期間でエアコンが使用できるようになったか聞くと(n=31)、「少し時間がかかった」(2週間~3週間)が22.6%、「かなり時間がかかった」(1カ月以上)も3.2%となった。

 同社によると、昨夏は猛暑の影響もあり、お客様相談センターに寄せられるエアコンに関する問い合わせは6月から急増し、20年・21年の問い合わせ平均件数は4月と比べて6月が2.9倍、7月が4.2倍、8月が4.5倍と集中。エアコン待機者の発生につながっているという。このため4月、5月のエアコン試運転を推奨している。

 ■省エネ提案も強化

 ルームエアコンの早期提案が重要な一方、家庭で消費電力が最も多いことから、同時に省エネ性についてもユーザーに訴求していくことが重要だ。

 買い替え時期を迎える、あるいはエアコンに不具合が見つかったユーザーに向けては、最新の高効率なルームエアコンへの買い替え提案が効果を発揮する。

 ルームエアコンの省エネ性については、各社省エネモデル(2.8kW)の代表機種の平均で、約5%の期間消費電力量が削減されている(21年モデルは10年前の11年モデルと比較、JRAIAサイトより)。

 電気代の値上げが話題となるほか、使用時間も増加する中、省エネモデルにおいての経済性を訴求することも、買い替え促進につながる。

 ■依然続く不透明な情勢

 昨今のロシア・ウクライナ情勢、中国の新型コロナ拡大に伴うロックダウンなど地政学的な問題が絡み、半導体など部品不足、原材料高騰、物流の混乱など、さまざまな困難に業界が直面している。

 ルームエアコンには銅やアルミ、鉄などの金属が多用されるため、原材料高騰には敏感で、価格の上昇に反映されることになる。

 メーカー各社では、部品の共通化、代替部品の開発、高騰する銅からアルミへの材料置換など、さまざまなコスト削減を図っているが、もはやこうした努力でカバーしきれず、価格値上げに踏み込む動きも加速している。

 さらに、中国・上海のロックダウンなどにみられるように、新型コロナウイルス感染拡大に伴う工場の操業停止、物流の停滞といった問題が今後も起こり得る。

 ロックダウンが行われると、商品供給の問題につながるため、販売の現場における〝弾切れ〟の心配が生じる。今期もこうした不透明な状況の中で、夏商戦本番を迎えることになるため、商戦ピーク時の混乱を防ぐ意味でも、早期取り組みが重要だ。