2022.07.01 【家電総合特集】洗濯機洗濯性能やデザイン性などでドラム式の人気高まる

ドラム式人気で洗濯機全体の単価が上がっている

 洗濯機の単価アップが進んでいる。直近では洗濯乾燥機の7割超を高級機であるドラム式が占めるなど、洗濯性能とデザインからドラム式が人気を集め、単価アップにも貢献している。半面、洗濯機は中国・上海のロックダウンの影響から抜けきっておらず、供給面では不透明さが広がっている。

 日本電機工業会(JEMA)が公表した白物家電の今年5月の出荷実績では、洗濯機は前年同月比34.5%減と大幅に出荷台数を減らした。今年度(4~5月)でも前年同期比21.2%減と出荷が停滞している。

 前年が好調だったことによる反動も一部あるが、さまざまな家電の中でも、上海のロックダウンの影響が色濃く出ているのが洗濯機だ。特に人気のドラム式に関しては、家電量販店の店頭ではメーカーによって「納期3カ月待ち」といった製品が出るほど品薄状態が続いている。

 その一方で、ドラム式人気は高まるばかりだ。JEMAの統計によると、洗濯機の出荷台数が過去最高を記録したのは1996年度の509万台。しかし、過去最高の出荷金額となったのは2020年度の約3996億円だ。21年度は前年から出荷台数を30万台以上減らしたにもかかわらず、金額では過去2番目の高水準となり、1台当たりの単価アップが進んでいることがうかがえる。そのけん引役がドラム式になる。

 ドラム式は、洗浄力といった基本性能の向上に加え、縦型に対して元々優位性が高かった乾燥性能がさらに進化。標準搭載されつつある液体洗剤・柔軟剤の自動投入機能やよりブラッシュアップされたデザイン性、IoT化による洗剤の自動再注文サービスの実現など、メーカー各社がフラッグシップ機と位置付けてさまざまな機能を搭載するようになっている。自動再注文サービスはまだ利用が進んでいるとは言い難いが、こうした先進的な利便性の提案も高単価なドラム式が売れる要因の一つになっている。

 ドラム式の中には、深紫外線LEDを照射して衣類の除菌機能を提案する製品など、コロナ禍を受けた機能強化も進んでいる。直感的に操作しやすいカラータッチパネルの採用も広がっている。縦型でも機能の横展開は進んでいるが、「高付加価値機種=ドラム式」という図式が市場では定着しつつある。

 洗濯乾燥機では以前、ドラム式より縦型の方が出荷台数は多かった時期もあったが、現在ではドラム式人気が縦型を圧倒しつつある。大手家電以外でもアイリスオーヤマやアクアがドラム式を投入するなど、選択肢が広がっていることも、市場を底上げしている。