2022.07.06 【ルームエアコン特集】省エネ性能に高まる関心、猛暑予想に買い替え提案加速

予想以上に梅雨明けが早く、エアコン商戦が加速する。電気代高騰で省エネエアコンの提案が重要になる

 今年は予想以上に早く梅雨が明け、6月のうちに40度を超える気温になるなど、例年より暑い夏が予想されている。昨年は長雨・冷夏でエアコン商戦にマイナスの影響があったが、今夏は旺盛な需要が見込めそうだ。電気代高騰の折、省エネエアコンへの関心が高まっており、これを機に付加価値提案をより強める動きが活発になりそうだ。

 今年のエアコン商戦は、天候面などで追い風が吹くものの円安、部品不足、材料高騰、上海ロックダウンの影響など、いくつもの不安定要因が重なる中で、商戦を乗り切る必要がある。

 上海ロックダウンの影響については、上海近郊に生産拠点を構えるメーカーも、ロックダウン解除を機に、生産を回復し、現在全力で出遅れた分をカバーすべく追い上げを図っている。

 ■電力需給逼迫で節電要請も

 今夏商戦は、電気代の値上がりに加え、諸物価が高騰し、消費者の消費マインドにどう影響を及ぼすか、不安が残る。

 「今の段階では、まだ消費マインドにマイナスの影響は出ていない」(メーカー幹部)が、先行き不透明な状況は残されている。

 一方、電力消費が拡大し、真夏の電力需給逼迫(ひっぱく)が見込まれるため、7年ぶりに政府からの節電要請が全国的に出されるなど、例年と異なる状況も生じている。このため、電気代値上がりと相まって、より節電・省エネへの関心は高まり、省エネエアコンに注目が集まっている。

 家庭で消費される電力の最も多い機器がエアコンである一方、熱中症対策に不可欠なのもエアコンということで、使わざるを得ないなら、より省エネ性の高い機種を選ぶというユーザーは多いはずだ。

 ダイキン工業が6月に実施した節電に関するアンケートで、電気代高騰や電力需給逼迫の中、昨年以上に省エネ・節電に積極的に取り組むかと聞いたところ、「取り組みたい」(n=526人)が9割強だった。

 ダイキン工業の調査では、エアコンの消費電力について、「夏場、一番消費電力が大きい家電」として約7割(74.7%)の人が「エアコン」と答え、エアコンが最も電気代が高い機器という認識は多くの人が持っている。

 ところが、夏場の日中(ピーク時)におけるエアコンの消費電力の割合を「5~6割程度」と正しく回答できた人は約1割(約13.7%)にとどまり、意外と多くのユーザーが、エアコンの消費電力を少なめに見積もっていることも分かったという。

 このため、よりエアコンの消費電力について、正しい情報を提供する啓発活動が重要となっている。

 エアコンが最も電気代が高いことから、省エネ・節電のために夏場のエアコン使用を控えようということになると本末転倒になる。無駄な電力を抑えながら、快適な環境を作り出す、正しいエアコンの使い方をしっかり訴求する必要がありそうだ。

 「設定温度を控えめにする」「フィルター掃除を定期的に行う」「室外機の吹き出し口周辺に物を置かない」「室外機に直射日光が当たらないようにする」「扇風機やサーキュレーターと併用する」「窓から侵入する熱をすだれ、遮熱フィルムで防ぐ」など、節電術はいくつもある。

 また、最新の付加価値モデルは、フィルター自動清掃機能の搭載や、IoT機能も活用しながら、自動運転による最適制御など、省エネ運転を実現する機能が搭載されており、こうした情報提供を図りながら、買い替え提案を加速することも重要だ。

 ■清潔・快適機能も提案

 省エネ訴求が重要である一方、コロナ禍で多くのユーザーが室内の空気質に対して敏感になっており、臭い・除菌など清潔志向に応えられる快適機能の提案も重要だ。

 パナソニックと小学館が共同で、5~6月にかけて実施した「夏場の自宅の空気環境」(有効回答数464人)に関する調査によると、普段の暮らしの中で、室内の空気環境についてどう感じているかとの問いに、8割が「気にしている」と答えた。

 各社のフラッグシップを中心に、清潔機能は近年急速に進歩しており、フィルター自動清掃はもとよりイオン発生機能の搭載や、加熱除菌や結露水で熱交換器を洗い流すなど内部クリーン機能の進化など、各社独自のクリーン技術を訴求することで、より付加価値エアコンへの関心を高められる。