2022.09.26 【九州・山口産業特集】九州・山口で活躍する企業・団体の事業戦略 九州計測器
岩倉 社長
水素火炎を可視化へ
ウエアラブル計測製品開発中
九州計測器(福岡市博多区)では、新たなニーズに応えつつ、既存事業の発展にも引き続き力を入れていく。
社会全体で水素活用への期待が高まる中、四国総合研究所(高松市)と共同で、水素火炎を可視化するウエアラブル計測製品の開発を、福岡県水素グリーン成長戦略会議の補助金を利用して進めている。
四国総合研究所が持つ近赤外光を使った特許技術を、同社で可視化させるウエアラブル製品として2024年の販売を予定している。
水素サプライチェーンでの日常点検時に装着することで危険源を顕在化。ハンズフリーによる初動措置を訴求し、安全装備品として展開する考えだ。
同社では、これまでも未付臭水素の漏えいを検知する実証を行うなど、水素エネルギーの社会実装に向けて力を入れてきた。今後も自社での実証を通じて水素の安全利用に貢献したい考えだ。
九州全体で期待が高まる中、半導体業界をターゲットとした展開も始めている。
岩倉弘隆社長は「まずはお客さまの声を聞いて計測器商社としてできることをやっていく」と話す。より良い提案のため部門を超えて情報や知見を共有していて、全社態勢で取り組んでいく構えだ。
今年は、空間環境の可視化を専門とする「ミエル課」の拡充や、新たなビジネスの構築に向けて新しい人材も迎えた。技術者の充実を図り、より的確に顧客の要望に応えていく。
社内での人材教育も進める。30代の社員を中心とした管理職研修は今月から開始。1年をかけて「次世代リーダー」を育てるといい、組織体制の強化も図っていく方針だ。
最近では、事業の柱の一つにもなっている計測機器の校正サービスが伸びている。品質管理への意識が高まっている傾向もあり、新規での受注も年々増えている状況だ。東洋テックと共同で同社内に設置した「九州キャリブレーションセンター」のほか、出張での校正も受け付けるなど顧客のニーズに応えている。
来年の創業50年に向けて掲げた中期ビジョンの最終年度を迎えた。「結果が出てきている。その次の長期ビジョン策定に向けた準備の期間としていく」と岩倉社長は説明した。