2022.10.18 OKIグループと仏ミプソロジー社 AI画像高速処理技術を開発

デモンストレーションの模様

左からOIDSの滝澤家信社長、藤田つぐみミプソロジー社カントリーマネージャ、須崎昌彦イノベーション推進センター開発部長、前野同センター長左からOIDSの滝澤家信社長、藤田つぐみミプソロジー社カントリーマネージャ、須崎昌彦イノベーション推進センター開発部長、前野同センター長

 OKI、OKIアイデイエス(OIDS、群馬県高崎市)、フランスのミプソロジー社は17日、エッジ領域での自動運転などに活用が見込まれる人工知能(AI)画像処理速度を従来比4倍に高速化する新技術の開発を発表した。新技術は、OKI独自のAIモデル軽量化技術「PCAS」とミプソロジー社のFPGAによるAI処理の高速化プラットホーム「Zebra」を連携することで、実現する。

従来比4倍
幅広い領域での活用期待

 AI開発の分野では、エッジ領域における自動運転、遠隔操縦ロボット、遠隔医療、映像監視などを実現するため、処理の高速化(リアルタイム化)と消費電力の低減が求められている。

 しかし、高度なAIモデル(ディープラーニングモデル)は、大規模で複雑な演算処理を実行する必要があり、計算性能やメモリー使用量などに厳しい制約があるエッジデバイスに搭載するには、AIモデルの軽量化や演算ロジックを実装するための論理回路設計など専門的な知識を持つ技術者が必要。

 また、プログラマブルロジックの一種で、製造後に購入者や設計者が構成を設定できる集積回路FPGAは、複雑な演算処理を並列処理し大容量のデータを高速に処理できるものの、汎用(はんよう)的なCPU/GPUよりもさらに複雑な実装や専門知識が必要なことから、開発期間の長期化やコストが高くなるなどの課題があった。

 OKIが開発した「PCAS」は、認識精度を最大限維持したままどのようなハードにも最適なAIモデルの軽量化を可能にする。ミプソロジー社のAI処理の高速化プラットホーム・Zebraと組み合わせることにより、AIモデルの軽量化からFPGA実装までを自動化を実現する。

 これにより、開発期間の短縮化やコスト削減が可能になる。AI画像処理の評価実験では、PCASによる軽量化未適用時に比べ4倍となるアプリケーションの実用化に必要な60fps以上の処理速度を達成している。

 PCASはAIモデルを構成するニューロンの中で、重要でないものを自動で特定・削減することで、軽量化を実現する。

 OIDSは、2020年11月からミプソロジー社と国内市場向けFPGA設計開発サービスとの連携を開始している。会見でOKIの前野蔵人イノベーション推進センター長は「さまざまな現場で活躍が期待されるAIエッジは、コンパクト性と性能の両立が求められる。コンパクトなAIを実現するためには、軽量化技術が必須」と強調した。

 AIエッジは、地域監視、交通管理、施設管理、インフラ管理、雑踏警備、さらに海上監視などさまざまな領域で活用が期待されている。PCASとZebraの連携で、顧客の要求性能に応じた柔軟なFPGAの選択が可能となり、AIエッジ領域での幅広い活用が見込まれている。