2022.11.18 【ルームエアコン特集】電気代高騰で省エネ性重視、冬場に向けて暖房性能も訴求

電気代高騰で省エネエアコンへの買い替え提案が重要になる

 ルームエアコン商戦において、これからは暖房機としての提案に力が入る。電気代が値上がりする中、ますます省エネ・経済性が問われることになる。2023年度に向けたルームエアコン新製品の発表も始まっており、省エネ・快適性、清潔性がさらに進化している。高まる空気質向上のニーズに応える製品特長をユーザーにしっかり訴求し、買い替え需要を顕在化させる工夫がより重要だ。

 ルームエアコンは、冬場のメインの暖房機として定着している。年末商戦においても商機は十分にあり、販売店にとって夏場に次いで高付加価値な重点商材となり得る。

 今年は上海ロックダウンの影響や部品不足といった問題を背景に、商品供給への影響も出るなど、22年度上期(4~9月)は前年を割り込んで推移したが、今後の商戦において、挽回の機会は十分にある。

 23年度に向けて、各社からの新製品発表も始まっており、暖房性能の進化や省エネ性の向上、加湿機能の搭載、センサー制御による快適な空調制御など、室内の空気質を高めるさまざまな機能が搭載され、ますますユーザーに寄り添う進化を遂げている。

 今年のエアコン商戦は、夏場は天候面などで追い風が吹いたものの円安、部品不足、材料高騰、上海ロックダウンの影響など、いくつものマイナス要因が重なっている。

 日本冷凍空調工業会のまとめによると、22年度上期(4~9月)は、前年同期比95.7%の564万6000台にとどまった。ただ、9月単月では前年同月比14.7%増と回復、7、8月も含め3カ月連続のプラスで推移しており、夏場の天候要因も重なって、追い上げることができた。

 上期においては、上海ロックダウンの影響は大きく、上海近郊に生産拠点を構えるメーカーは、ロックダウン解除を機に、生産を回復させて挽回を図ったが、業界全体として出荷は前年同期を割り込むことになった。

 こうした中でも、半導体など部品不足に対しては代替部品の確保や、内製化の強化などに取り組んだほか、物流における代替ルートの確保など、打てる対策を積極的に講じて乗り切ったメーカーもある。

 今後も、さまざまな不安定要因に対して、迅速に幅広い対策を講じながら、商品供給に万全を期す取り組みは、各メーカーにおける事業戦略上の重要なテーマであり続ける。

 ■省エネエアコンへの関心高まる

 年末商戦では、電気代の値上がりに加え、諸物価の高騰、さらには新型コロナ第8波の到来など、さまざまな不安定要因が依然として残っており、消費マインドにどう影響を及ぼすか、懸念される。

 こうした中で、高付加価値なルームエアコンの提案にどう取り組むか、販売店にとっても難しいテーマだ。とはいえ、ユーザーの大きな関心事は省エネ・経済性にあることも間違いなく、電気代がかかると思われるエアコンの省エネ性を、どうアピールするかで商機をつかむことは可能だろう。

 パナソニックが9月に行った、家庭での電気代への意識や節電に対する工夫についてのアンケート調査(n=1295)では、「今年の夏、電気代は気になったか」との問いに、約9割が「そう思う」「ややそう思う」と答えた。

 多くのユーザーは電気代の請求書を見て電気代が上がったことを実感しているようで、中でも「電気代が気になる家電製品」を尋ねると、1位(約9割)がエアコンで、2位の冷蔵庫(36%)を大きく引き離して、断トツに電気代が高い家電製品と捉えられている。

 エアコンの電気代を意識するユーザーが大半である実態は、逆に省エネエアコン提案のチャンスともいえる。日常使うエアコンにおいて、まめなフィルター清掃など、節電対策はいくつもあるが、古いエアコンを使っているユーザーには、この際、最新エアコンへの買い替えを勧めることも、節電対策の一つといえる。

 最新のエアコン付加価値モデルは、フィルター自動清掃機能の搭載や、IoT機能も活用しながら、自動運転による最適制御、加湿機能の搭載など、省エネ運転を実現する機能が充実しており、こうした細かな省エネ機能の情報提供は、ユーザーにとってもプラスになる。

 省エネ性能はもとより、最新エアコンの快適性や清潔性も格段に向上しており、訴求ポイントは多い。ユーザーに対して、エアコンの総合力がどれだけ進化したか、具体的に説得力ある提案が、今こそ問われそうだ。