2022.12.20 米欧で半導体投資加速 政府も後押し、「ビッグ3」などこぞって呼応

マイクロンのNY州の工場の完成予想図(マイクロンのサイトから)

 米国や欧州での半導体投資が加速している。直近に発表された主な設備投資の計画だけでも、集計すると米欧で計10カ所以上にのぼる。デジタル化や自動車の電動化といった流れの中、各国政府が国内産への補助などを打ち出していることが背景にある。

 従来、中国や台湾を含む東アジアが中心になっていた生産構造から脱却できるかどうかが問われる。今年後半はメモリー市場の軟調などが指摘されてはいるが、日本でも、「国産回帰」の動きが相次いでおり、新年以降も目が離せない。

 現在では半導体製造の7割強が東アジアに集中しているとされる。特に、高性能コンピューティング(HPC)やハイエンドのスマホに搭載される先端半導体については、9割強が台湾や韓国で製造される。

 そうした中、コロナ禍も背景に、世界的にリモートワークや省人化対応などを通じ、デジタル化のニーズが加速。半導体需要が急増するものの供給が追い付かず、自動車をはじめ各種最終製品の生産体制にも影響を及ぼしてきた。

 また、今年はロシアによるウクライナ侵攻でサプライチェーンが改めて課題になった。万一の台湾有事も想定し、「地政学リスクに対応する機運が一層高まっている」(米半導体大手幹部)。こうした中、「半導体ビッグ3」と呼ばれる米インテル、韓国サムスン電子、台湾TSMCなどが呼応している。

 さらに、東アジアからの分散の中では、東南アジアなども注目されているが、特にインドは、「電力や水などの課題はあるが、大きなマーケットでもあり、技術系の人材もいる」(日本の半導体大手幹部)だけに、ポテンシャルが指摘されている。
(21日付の電波新聞/電波新聞デジタルで一覧表など詳報します)