2023.01.11 【電子部品総合特集】メイコー 名屋佑一郎社長 新規の半導体パッケージ期待

名屋 社長

 2022年度上期は、為替の円安効果で、売り上げ・経常利益が上期としては過去最高となったものの、受注が減少したため営業利益は前年比マイナスとなった。今下期は想定よりも車載やスマートフォン向けの受注が低調。車載は半導体不足の影響もあるが、加えて各社がこれまで上げていた部品在庫水準を調整する動きが出てくる。それが一段落すれば受注回復が期待でき、23年の部品市場は22年よりは伸びるだろう。

 ただ市場全体は厳しくても、新規顧客を開拓すれば売り上げはアップする。来期は新規のビジネスを増やすことでプラスアルファの売り上げを獲得していきたい。

 今年度もさまざまな投資を実行している。国内ではパッケージ基板関係の投資を石巻工場(宮城県石巻市)の第2工場で実施している。同工場ではSAP工法を導入。今後、顧客の認定が進めば23年度下期ぐらいから受注につながる。山形事業所の新工場(山形県天童市)にも着工した。新工場では車載用ビルドアップ基板などを工場自動化で大量に生産できる体制を整える。稼働時期は23年秋頃を予定。海外ではベトナム第3工場でパッケージ基板投資を進めている。同工場では、MSAP工法でパッケージ基板を製造する。

 これらの案件が本格的に売り上げ・利益に貢献してくるのは24年度からになる。23年度は車載やスマホなどで新規顧客を開拓し業績を伸ばしていきたい。

 また、22年にNECから株式を譲り受け、完全子会社化したメイコーエンベデッドプロダクツの技術を活用して自社工場の自動化を推進する。同社が保有するAIカメラを組み込んだ製造システムなどを活用することで歩留まり向上が期待できる。まず、山形事業所天童新工場や石巻第2工場に展開し、その後はほかの事業所にも展開していく。同時に設備の外販も行う。実際に買収成果が表れるのは23年4月以降になる。

 業績面では23年度よりも24年度に高い伸びが期待できると考えている。特に新規分野の半導体パッケージ基板などに期待している。24年から25年ごろにかけ、EVや自動運転などの市場も一気に成長が加速するとみている。23年度は24年度からの成長に向けた準備の年と位置付け、歩留まり向上への仕組みづくりなどにしっかり取り組む。