2023.01.10 【製造技術総合特集】大陽日酸 UVLEDのプロセス開発推進 HVPE量産装置開発にも注力
生方主任研究員
大陽日酸は、産業ガスで培った技術を起点に「金属3Dプリンター関連事業」「化合物半導体事業」「安定同位体元素事業」など、さまざまな先端分野の事業を展開する。
生方映徳イノベーションユニット主任研究員は「コロナ禍による経済停滞のくすぶりで、輸出コスト上昇や半導体不足などの社会現象が起き、半導体装置事業でもサプライチェーン分断やパーツ仕入れの長期化などの問題が顕在化して対策が急務となっている。一方で5GネットワークやEVなどの新分野の社会インフラ普及を追い風に、化合物半導体の応用範囲が広がりつつある」と話す。
具体例としては、5Gネットワークでは光通信のインフラ整備が急がれ、通信用レーザーをはじめ各種光デバイスの製造が増えている。スマートフォン基地局用アンプ・アンテナにはGaAsやGaNなどの高周波対応の化合物半導体素子によるインフラ整備が広がっている。5Gスマホでは高周波対応のGaAs素子(PA)が採用され、GaNパワーデバイスは無線充電用アンプ、各種DC/DCコンバーター向けに採用が進んでいる。「当社ではこうした動きに対応し、中長期的な開発計画を進めている」(生方主任研究員)。
同社は22年後半に完全自動型MOCVD量産装置を上市した。大口径ウエハーを扱うパワーデバイス、マイクロLEDといったアプリケーションをターゲットに拡販を進める。
酸化ガリウムMOCVD装置も上市し、22年10月の酸化ガリウム国際会議(IWGO)で発表した。「次世代パワー半導体材料として期待される材料だけに、今後は酸化ガリウムの研究者人口が増えることを期待したい」(生方主任研究員)。
また、コロナ禍の影響で紫外線による殺菌/消毒技術に注目が集まる中、高温仕様MOCVD装置を用いた窒化アルミガリウム系材料によるUVLEDのプロセス開発に取り組み、UVC波長(270ナノメートル帯)から皮膚などへの影響が軽微とされる220ナノメートル帯の発光を得られるプロセスを目指している。
オープンイノベーションを活用した酸化ガリウムやGaAsのHVPE量産装置開発にも取り組んでいる。