2023.01.17 【半導体/エレクトロニクス商社特集】伯東 阿部良二社長

阿部 社長

ソリューションビジネスの強化に重点

 伯東は、半導体・電子部品、電子・電気機器(システム)、工業薬品の3事業を主力とする。2022年3月期は6期連続の増収、23年3月期上期も前年同期比26%増収、四半期純利益は同80%増を計上するなど堅実な経営で事業を着実に拡大している。

 阿部良二社長は「23年3月期上期は半導体・電子部品の供給不足も緩和の傾向にある中で、車載関連や産業機器分野の設備投資が堅調で為替の影響もプラス要因となり、増収増益だった。半導体業界の好調に支えられてステッパーなど電子・電気機器事業も順調に推移した。23年は半導体メーカーの設備投資がやや減速する懸念があり、慎重に取り組みたい」と語る。電子・電気機器事業はステッパーや真空装置などのほか、クリーンルーム向け分析装置、リチウムイオン電池の製造用途などレーザー加工機の売り上げが伸び、売り上げの約半分を半導体マーケット向けが占める。

 同社は、21年度から始まった24年度を最終とする中期経営計画では、事業構造の転換を進め、各事業においてソリューションビジネスの強化に重点を置き、部門横断のプロジェクトチームを中心に活発に議論を交わし、事業を超えてのシナジーも得られるようになってきている。

 電子部品事業と工業薬品事業のコラボレーション事例では、工業薬品事業の顧客工場における製造プロセスで発生する泡による悪影響を監視、制御するために、AIカメラを活用したソリューションを開発し、23年から実証実験を開始する。

 半導体のラインカードに一部移動もあったが、マイクロコントローラー、オーディオIC、バッテリー監視ICなどを得意としている半導体メーカー・ヌヴォトン テクノロジージャパン社と新たに代理店契約を結んだ。阿部社長は「中長期的に成長が期待されるEVや産業機器に向けてデバイス、装置、素材など商材を拡充したい」と述べる。

 海外はアジアの組織を中華圏統括(中国、香港、深圳、台湾)とASEAN圏統括(シンガポール、タイ、マレーシア)により域内一気通貫の営業体制を整え、23年はそれぞれの地域に合わせた戦略を構築し、地域密着の事業を強化する。