2023.01.17 【半導体/エレクトロニクス商社特集】Wolfspeed 瀧澤靖明日本地域統括副社長
瀧澤 副社長
SiC半導体好調で生産力増強
Wolfspeedは、2021年10月にCreeから社名変更して1年余り。昨年10月に着任した瀧澤靖明副社長は「SiC(炭化ケイ素)パワー半導体などのデバイス事業を今後の成長の柱に」とする意向から製品ブランドを新社名に当てたと説明する。
そのパワーデバイスの事業が業績を大きくけん引している。昨年7月にスタートした23年度は第1四半期だけで2億4100万ドルに達し、通期で10億ドルに迫る勢いだ。
EV(電気自動車)など電動化は好調要因の一つ。ここ1~2年の急激な市場成長は「われわれのフォーキャストを常に上回るような状況」(瀧澤氏)。同社の主力となるSiC製品は、自動車のインバーターやオンボードチャージャー向けに強い引き合いが生じている。
産業系も同様で、カーボンニュートラルとして電力の高効率化を目指す動きに伴い、SiCが求められている。
同社の特長は垂直統合の供給体制だ。原料を購入してインゴットからウエハーを製造、エピ成長させた後、パッケージにするまでのプロセス、デバイス製造を手掛ける。
ほかの半導体企業にSiCウエハーを供給するマテリアル事業は世界で圧倒的なシェアを誇る。瀧澤氏は「半導体の需給が逼迫(ひっぱく)している時期だが、マテリアル事業を自社に持つことで安定供給が図れ、お客さまにも安心感を持ってもらえる」と自負する。
日本は独立したリージョンを構える重要市場。「本社との広いパイプを持ちつつ、ビジネスを直接ドライブできるのが強み」と話す。
デバイス事業のもう一つの柱、RF事業はLDMOSからGaN(窒化ガリウム) on SiC製品への置き換えを促す。
活発な需要に対し、生産力を増強している。昨年、200ミリSiCウエハーによるパワーデバイス工場が稼働を開始したほか、200ミリSiCウエハーの工場新設も発表した。
日本市場での認知度のさらなる向上が今年の課題。瀧澤氏は「これまで付き合いが少なかったお客さまに対して、より積極的な対話ができる機会を増やしていきたい」と意気込む。