2023.02.06 将来のCO₂抑制量を金融商品化 NECと慶大、防災投資活性化へ新アプローチ

記者会見するNECの森田隆之社長兼CEO(左)と慶應義塾長の伊藤公平氏=6日

 NECと慶應義塾大学は6日、防災・減災による将来の二酸化炭素(CO₂)抑制量を算出・可視化し、金融商品化する新事業「潜在カーボンクレジット」の社会実装に向けた共創すると発表した。NECの防災ソリューションを活用して建造物の倒壊防止に取り組み、大量のCO₂を排出する再建を回避した場合の将来のCO₂抑制量を可視化し、抑制量に応じてインセンティブが働くファイナンスの仕組みを構築する取り組みだ。

 NECと慶大は、発生自体を防ぐことができない自然災害ものの、CO₂排出とその抑制量に着目。カーボンクレジットとして市場取引が可能なインセンティブに転換する金融商品化し、企業や自治体などによる脱炭素に向けた投資と防災・減災対策の活性化を図るのが狙い。

 NECは、人工知能(AI)と衛星レーダーを活用してリモートセンシングによる橋の異常検知や、光ファイバーとAIで道路の振動を検知分析するインフラ監視技術などさまざまな防災ソリューションを開発している。こうしたノウハウと慶大の知見を組み合わせることで、自然災害の被害発生率や構造物の被害額」などから将来のCO₂排出の抑制量を割り出し、現在の価値として金融商品化を目指す。

 取り組みの加速化に向け企業や大学、政府、自治体などから幅広くパートナーを募り2023年度にコンソーシアムの設立を目指す。

 (8日付の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)