2023.03.17 【洗濯機特集】ドラム式洗濯乾燥機に注目集まる
コロナ禍で清潔・快適意識が向上したことを背景に、洗濯機の市場にも変化が起きている。洗濯の頻度が増えるとともに、洗濯から乾燥まで一気に仕上げる洗濯乾燥機が注目され、中でも乾燥や節水性能に優れたドラム式洗濯乾燥機が注目されている。電気代が高騰する中、特に省エネ乾燥や節水提案が今後の商戦をけん引するキーワードとなりそうだ。
ドラム式洗濯乾燥機は、洗濯から乾燥まで一気に自動で仕上げる利便性が省家事につながるほか、シワがつきにくいなど衣類の仕上がりがよく、クリーニング代を節約できたり、電気代や諸物価が上がる中で、節水性・省エネ乾燥がユーザーニーズを捉える。
洗濯機全体の需要は、特別定額給付金などで好調だった2020年度の反動により、日本電機工業会(JEMA)出荷統計ベースで21年度は前年割れ(前年比93.6%)となる456万台にとどまった。22年度も上期に上海ロックダウンの影響を受け、下期は回復基調にあるものの、通期で挽回できず前年割れが見込まれている。
ドラム式洗濯乾燥機は2000年代初頭から登場しはじめ、それ以来着実に洗濯乾燥機の中で構成比を高めてきた。ドラム式は縦型より高価で、洗浄力も縦型に優位性があるものの、節水性、乾燥性能、衣類の仕上がりの良さなどから一定のニーズを取り込んできた。
近年、共働き世帯の増加で家事削減ニーズが強まったことで、ドラム式の動きにも変化が見られるようになった。節水、乾燥性能、仕上がりの良さといったドラム式洗濯乾燥機の優位性が認められ、この流れがコロナ禍で加速した。
ドラム式の乾燥については、電気代を気にするユーザーも多いが、ヒーター乾燥の場合と比べ、省エネ性が高いヒートポンプ乾燥方式を採用する機種もあり、今後の商戦において重要な訴求ポイントとなりそうだ。
洗濯乾燥機全体に占めるドラム式洗濯乾燥機の構成比は、コロナ禍前の19年度で6割弱だったが、コロナ禍に見舞われた20年度に64%に、22年度上期には75.9%、この下期には約8割程度まで高まると見られている。
ドラム式洗濯乾燥機の好調は、いまのユーザーの省家事・節約ニーズにうまくマッチしたためだ。使い勝手の良さという面では、液体洗剤・柔軟剤自動投入機能の搭載やIoT化の流れが進んでいる。
乾燥フィルター自動清掃やイオン搭載による衣類の除菌・消臭、ヒートポンプ乾燥方式などによる省エネ乾燥、静音性、デザインなど総合的な商品力の強化が、買い替え需要や新規需要の獲得につながっている。
ドラム式洗濯乾燥機では、デザイン面へのニーズは高く、サニタリー空間とマッチしたデザインを採用する動きも加速している。
こうしたデザイン面には若年層も関心が高く、単身者でもドラム式洗濯乾燥機を購入する層は増えているようだ。
またマンション世帯でもドラム式が注目され、10キロ~12キログラム洗い(乾燥5キロ~6キログラム)の大容量タイプはもとより、7キログラム洗い(乾燥3.5キログラム)といったコンパクトなドラム式洗濯乾燥機の訴求に力を入れるメーカーもある。
パナソニックの主力製品
ドラム洗乾機旗艦機「NA-LX129BL/R」
機能充実で使い勝手向上
パナソニックは、ドラム式洗濯乾燥機の需要が拡大する中、ななめドラム洗濯乾燥機のフラッグシップモデル「NA-LX129BL/R」の提案に力を入れる。
液体洗剤・柔軟剤に加えて、業界初のおしゃれ着洗剤に対応した「トリプル自動投入」や「はやふわ乾燥 ヒートポンプ」をはじめ「シワとり・消臭」コース、「ナノイーX槽カビ菌除菌」新搭載やアプリ機能の拡充で、より使い勝手を高めて家事シェアをサポートする。
洗濯容量は従来の11キログラムから12キログラムへと大型化した一方、本体寸法は従来機とほぼ同じコンパクトビッグも実現する。
新搭載のシワとり・消臭コースは、肌着や夏物以外の衣類は毎回洗濯せずに、2回以上着用する人が多いため(同社調べ)、一度着た衣類のシワや臭いを手軽にケアができるよう搭載した。温水ヒーターで発生させたスチームを、洗濯槽とファンを回転させて衣類全体に当てることで、シワや臭いを取ることができる。
また、清潔ニーズに応え、洗濯終了後に毎回ナノイーX(48兆)を槽内に放出することで、黒カビの菌(胞子)を除菌し、槽洗浄の手間を省くナノイーX槽カビ菌除菌を搭載した。
さらに、「スマホで洗濯」アプリの機能を拡充させた。それぞれのアイテムの洗い方に最適な、「ウール」コースと「シーツ」コースをアプリ専用コースとして新搭載した。
加えて、従来の「おまかせ(洗濯~乾燥)」コースの終了時間を、ユーザーごとにより正確に予測してアプリで表示する「終了時刻クラウド予測」も搭載している。
このほか一番よく触れるハンドル部分と、手入れがしにくい窓パッキングを抗菌加工し、清潔ニーズに応える。また、運転終了後に10分ごと2回、音と表示部の点灯で衣類の取り忘れを知らせる「取り忘れ防止アラーム」も搭載する。
「温水スゴ落ち泡洗浄」により、高い洗浄性能も併せ持つ。洗剤中の酵素が活性化する温度まで洗剤液を温め、さらに泡にすることで浸透力もアップして、繊維の奥に染み付いた、黄ばみや部屋干し臭の臭いの元まで洗い流す。
また、電気代が高騰する中で、時間やコスト面で効率の高いはやふわ乾燥 ヒートポンプの訴求にも力を入れていく。