2023.08.09 【コネクター特集】コネクター各社、積極的な製品開発や拡販を推進
拡販重点製品、産業機器が最多
通信・放送インフラにも注目
コネクターメーカー各社は、今後も中長期のビジネス拡大に向け、積極的な新製品開発やグローバル営業戦略の強化を推進する。
主要コネクターメーカーを対象に電波新聞社が実施したアンケートによると、「23年の拡販重点製品分野」の質問では、回答17社で、最も多かったのが「産業機器(含むFA)」の55ポイント、次いで「自動車電装品」が51ポイントだった(集計方法=上位5分野を挙げてもらい、1位5ポイント~5位1ポイントとして集計)。
3位以下は、「通信・放送インフラ関連」28ポイント、「医療機器」21ポイント、「ウエアラブル端末」15ポイント、「携帯電話/スマホ」12ポイント、「環境・新エネルギー関連」12ポイントが続いた。
産業機器市場は、社会全体の自動化ニーズやスマート化ニーズの高まりにより、今後も中長期での継続的な成長が見込まれる。特に世界的な若年労働者不足や人件費の高騰が続く中で生産ラインの自動化や省人化、高効率化のための投資はますます増大し、高度な自動化システムや産業用ロボットの需要を押し上げていく。
社会全体のデジタル化を支える半導体/半導体製造装置の需要も、直近は投資が減少しているものの、中長期では技術進化とともに高い市場成長が見込まれる。
自動車市場は、多くのコネクターメーカーが事業拡大のための最重要分野に位置付けている。CASEをメガトレンドとした自動車の技術進化や市場変革が進む中、車1台当たりのコネクター搭載数量は、今後もADAS技術の高度化やEV化によって右肩上がりで推移することが予想されている。
中でも電動化関連では、EVの高電圧化の進展や車体軽量化ニーズの高まりなどが、コネクターの新たな技術革新を求めている。
通信・放送インフラ関連も、今後のコネクター市場の成長を支える重要分野だ。
特にBeyond5G/6Gといった通信技術の高度化は、次世代に向けた高速伝送対応コネクターの技術開発をいっそう活性化させる。完全自動運転化や工場のスマートファクトリー化を実現する上でも大容量データ伝送技術の高度化は不可欠で、今後も通信・放送インフラ技術の高度化に向けたコネクターの技術革新が進む。
民生系分野では、スマホ市場が世界的な普及一巡や買い替えサイクルの長期化によって成長の鈍化が目立つ一方で、ウエアラブル機器は今後も高成長が続く見込みだ。
コネクターメーカーでは、スマートウオッチやスマートグラスなどに加えて、AR(拡張現実)/VR(仮想現実)端末に照準を合わせた技術開発や技術マーケティングを強化しており、将来の業界標準を目指したデザインイン活動が展開されている。
アンケートで「23年度のコネクター部門の研究開発費計画」を尋ねたところ、回答11社と母数は少ないが、過半の6社が22年度比で「増」と回答し、うち2社は「20%以上の増」を計画。「減」と答えた企業はなかった。
直近のコネクター市場は調整局面が続いているが、コネクター各社の研究開発・技術開発戦略に変化はなく、今年度も積極的な研究活動を展開する。各社は、重点アプリケーション分野への戦略投資を推進することで、受注競争力に優れた差別化製品の市場投入に努める。