2020.03.18 ソーラーシェアリングに注目 太陽光発電の新たな担い手

平地でのソーラーシェアリングで使われる藤棚式の架台

傾斜地で使われる新製品のイメージ図傾斜地で使われる新製品のイメージ図

果樹園などで設置された新製品のイメージ図果樹園などで設置された新製品のイメージ図

 農業者が発電と作物栽培/架台の新製品で需要掘り起こしも

 太陽光発電の新たな普及策として、農業の中に取り込むソーラーシェアリングが注目を浴びている。

 農地に支柱を立てて、上部に太陽光発電設備を設置し、日光を発電と作物栽培とで「シェア」する仕組みだ。国の推進策で、既に全国400ヘクタール以上に導入が拡大。新たな需要地の掘り起こしを狙う新製品も出てきた。

「導入は確実に増えていく」。そう話すのは、地域での再生可能エネルギーの普及に取り組むコンサルティング会社、千葉エコ・エネルギー(千葉エコ、千葉市稲毛区)専務の萩原領氏。

 千葉大学発のベンチャーとして知られ、千葉市内の農地約1ヘクタールで、ニンニクなどをソーラーシェアリングで栽培している。

 鉄骨やアルミでできた高さ2-3メートルの架台の上にパネルを設置することで、パネルの下でも農作業ができる。並ぶパネルの隙間から差す光で作物は育ち、稲やキノコ、サカキなどを栽培する農家もいる。

 萩原氏は「ノウハウを蓄積して伝えていきたい。既に台湾や韓国からも相談が寄せられている」と話す。

 ソーラーシェアリングの普及には、国も本腰を入れている。

 農水省バイオマス循環資源課再生可能エネルギー室によると、農地で太陽光発電を行うには農地法に基づく「一時転用」などの許可申請が必要だが、13年に、こうした制度の取り扱いを明確化。18年5月には、一部の許可について規制緩和も実施した。

 そうした効果で、13年度に96件(19.4ヘクタール)だったソーラーシェアリングの導入例はその後、年間300―400件のペースで増加。17年度までに計1511件(413.1ヘクタール)に達した。千葉や群馬、静岡各県などで多く導入されているという。

 さらに、千葉エコによると、18年度末には全国で2000件に及び、現在は2500―3000件に広がっていると見られる。

 国は、地域戦略の一つと位置付けて、ソーラーシェアリングを全国的に拡大、普及させていく方針を19年6月に閣議決定した。

 そんな中、千葉エコと、架台専門メーカーのクリーンエナジージャパン(横浜市中区)が、新たな需要拡大に向け、共同で架台の新製品の開発、販売を始めた。

 従来のソーラーシェアリングでは、効率的な発電を重視し、パネルをぎっしり敷き詰めるために、数十メートルにわたって骨組みが連なる「藤棚式」と呼ばれる架台が主流だ。

 だが、藤棚式では主に平らな土地でしか設置できなかったり、幾つもの支柱が邪魔になって大型農機で作業ができないなどの課題があった。

 一方、新製品では、支柱が2本だけの架台1基(高さ2.8メートル、幅2.8メートル、パネル4枚設置)ごとに立てられるようにしたため、緩やかな傾斜地(斜面5度―10度を想定)にも設置できたり、1基ごとの間隔も自由に設定できる。

 風雨に耐え抜く頑丈さが必要で、地域ごとに厳しい規制が求められているが、新製品は、材質や構造などで工夫して強度面もクリアした。これまでソーラーシェアリングの導入が難しかった畜産業の牧草地や、梅やミカンなどの果樹の栽培地にも広げていく考えだ。

 クリーンエナジージャパンの担当者は「見向きされなかった傾斜地でも導入が検討され始めた。ソーラーシェアリングは、新たなステップに入っている」と語る。

 平らな農地は、複数の農家が小刻みに所有している一方で、傾斜地では広大に所有するケースが多いという。萩原氏は「農業者がまとまった土地を所有している傾斜地は、大規模発電所の設置に適している」と指摘している。