2024.01.02 能登半島地震 各メーカー、設備点検や安否確認急ぐ

 1日発生した石川県能登地方を震源とする能登半島地震により、北陸地方など各地で住宅や工場など、建物の損壊や生産設備への影響が一部で出ており、各メーカーは対応に追われている。

 パナソニックホールディングスによると、2日午前までに9割以上の従業員などの安否確認を行ったところ、重傷者の報告はなかったという。

 パナソニック コネクト プロセスオートメーション事業部加賀工場(電気溶接機・部材)と、パナソニック インダストリー産業デバイス事業部加賀工場(産業用モーター)のいずれの石川県内の拠点も物的被害の報告はないという。

 北陸地方に生産拠点を構える東芝グループも、被害状況の確認に追われている。震度5強を観測した石川県能美市には、東芝デバイス&ストレージ子会社で半導体製品を手がける加賀東芝エレクトロニクスがある。東芝デバイス&ストレージによると、当日出社していた従業員については全員の無事を確認。引き続き出社していなかった従業員の確認を急いでいる。操業は安全確認のため、地震発生直後に停止し、生産工程などの状況を確認中という。

 同じく震度5強を観測した新潟県柏崎市には、リチウムイオン二次電池を生産する東芝の工場がある。既に人的被害がないことを確認。引き続き、建屋や生産設備への影響の確認を進めている。

 村田製作所は柱の一つのMLCCの主力工場などを北陸各県にグループで展開している。工場は正月休みで稼働しておらず、「今のところ重傷者などの報告はないが、まずは従業員の安全確保や確認を優先させ、その後、施設について確認する」としている。

 ジャパンディスプレイは、石川工場(石川県川北町)の被害の確認を進めている。元日は非稼働日で工場にいたのは数人。出社していなかった従業員を含め安否の確認をしたところ、重傷者などの情報はないという。ただ、影響なしの連絡があったのは約8割で一部の従業員は避難している模様。「余震が続いていて安心できない」という。今のところ、当初予定の9日の稼働に向け確認をしている。

 サンケン電気のグループ、石川サンケン(同県志賀町)も従業員の安否確認中で、これまで重傷者などの報告はないが、確認が終わった後に、物的被害の確認に入る。「生産設備などの確認の本格化は3日以降になりそう」だという。

 関係者は「北陸には各社の電子部品、デバイス関連の生産拠点が点在している中で、今回、道路や鉄道を含めたインフラの被害も少なからずあるようだ。休み明けに生産活動を再開できたとしても、物流を含めて支障が続く可能性があり、産業全体のサプライチェーンに影響しないか心配だ」と話す。
(3日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)