2024.01.10 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2024年の経営戦略 エレクス 金子高一郎社長

金子 社長

企業の課題をノウハウで解決

 コンピューター機器の各種ケーブル加工をはじめ、プリント基板実装、産業機器の組み立てなどで40年以上培ってきた技術力を生かし、企画から設計、試作、量産まで一貫体制で対応している。特に納期での困り事に柔軟に対応できることが強みになっているので、多くの企業が抱える製品開発や生産の課題を当社のノウハウで解決できるようにしていきたい。

 2023年は世界的な半導体不足や部材不足が一部を除いて解消されつつある半面、余剰在庫の問題も出ており新たな局面を迎えた。そうした中で当社はこの一年、既存顧客への対応に加え、新規顧客の獲得にも積極的に取り組んできた。

 当社は品川技術センター(東京都品川区)と高山本社の生産工場が密に連携することで、各種装置などの設計開発から量産までを一貫して支援していることが特徴だ。特に納期が限られた製品については最適な対応ができる。

 産業機器の生産や基板実装、電源関連装置の設計、量産といった得意領域では、小ロットや短納期を求める案件でも柔軟に対応している。

 近年は中小の工場が減少傾向にあり、当社の柔軟な対応を求めるところも多い。

 新規で取り組んできた医療機器関連は当社の生産管理が高く評価され受注も拡大している。この一年では宇宙関連事業の案件にも取り組み始め、今後の成長に期待がかかる。

 今年から、東京大学の竹谷純一教授のグループが開発した有機半導体単結晶の成膜技術を活用したフレキシブルディスプレーの量産に取り組んでいく。

 有機半導体ディスプレーの開発を進めるオルガノサーキット(千葉県柏市)と協業し、高山本社で量産を始める。今後用途の拡大が期待できる有機半導体ディスプレーの量産にいち早く取り組み、技術力で市場をリードしていきたい。

 20年7月にカーAV用品や搬送機器の開発製造を手掛けるカインズ(東京都葛飾区)グループに入り、さまざまな改革に取り組んできた。グループでのシナジー(相乗効果)も出始め、カインズグループのワイヤハーネス事業を移管したほか、送迎バスなどの置き去り防止システムも開発し発売している。

 今後はグループ連携をさらに強化し、取引先の困り事などを解決できるようにしていく。25年に売り上げ20億円を目指している。24年は基板実装や医療に加え、新たな事業の種を見つけたい。