2024.01.10 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2024年の経営戦略 ローム 松本功社長

松本 社長

SiCパワー半導体の生産拡大

 足元は自動車向けはまずまずだが、サーバー、FAが良くない。中国の景気減速が大きく影響している。スマートフォン向けは元々販売が少なく落ち込みの影響はない。各分野でバランス良く伸ばしたいが、23年度は自動車以外が良くないため、自動車の通期売上高比率は50%を超えそうだ。

 お客さまの在庫を見ながら社内の生産を調整し、完成品、仕掛品、原材料合わせた回転月数は2Qの7・8カ月から4Qには7カ月ぐらいになると思うが、市況回復に備えて受注残を抱えているパワー半導体やアナログ半導体は在庫を積み上げている。特にSiCパワー半導体は、顧客からの引き合いが強く採用見込みも増加。25年度に1300億円、27年度には2700億円の売り上げ目標を掲げる。

 そのため、SiCパワー半導体の生産能力拡大を進めている。昨年11月に資産取得を完了したソーラーフロンティアの旧国富工場をラピスセミコンダクタ宮崎第二工場として約3000億円の設備投資を行い、25年1月にSiCウエハー基板ラインを、26年4月からSiCパワー半導体8インチプロセスラインを量産稼働させる予定だ。当社と東芝デバイス&ストレージで共同申請したパワー半導体に関する製造連携や量産投資計画が、経済産業省の「半導体の安定供給確保のための取組に関する計画」として認定され、両社合わせた事業総額3883億円のうち最大1294億円の助成が受けられることになった。当社は宮崎第二工場のSiCパワー半導体、東芝デバイス&ストレージは加賀東芝エレクトロニクスの25年3月稼働の300ミリウエハー対応新生産棟のSiパワー半導体の増強に充て、互いの製品を流し合う。東芝の非公開化には3000億円を出資しているが、親和性の高い事業が多い。今後、パワー半導体の製造や技術などの連携にも期待したい。

 中期経営計画で掲げる各種目標の達成に向けて、計画を無駄なくやり切るために成長できるもの、やり続けられるものを見極めて足腰の強い経営体制を築いていく。さらに、30年売上高1兆円の夢にふさわしい企業基盤を、25年度までに作り上げたい。