2024.01.10 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2024年の経営戦略 KOA 花形忠男社長

花形 社長

供給体制増強へ設備投資を行う

 経営環境をはじめとして、さまざまなものが大きく変化する時代に突入した今、長期の時間軸で将来を見据え、当社が世の中に対してどのような価値や成果を創り出し、収益をどう獲得し、「5つの主体」(当社を支えてくださっている五つのステークホルダー)との信頼関係をどう維持・強化していくかを再検討する必要があると考え、22年に「2030ビジョン」と「2024中期経営計画」を策定した。そして、この内容の詳細をお伝えするために、初めての試みとなる統合報告書を発行し、ホームページなどでも公開した。

 「Essential Parts of the World」をスローガンとする2030ビジョンは、当社のDNAである「創業の精神」と「経営の価値観」をベースに、ビジョン実現に向けた五つの挑戦分野とそのそれぞれで生み出したい価値を明確にした。第1フェーズとなる2024中期経営計画は、その期間を「『確実な成長』のための基盤づくり」に注力するとし、五つの主体別に重点施策とその目標値(KPI)も定めた。特にお客さまの各種ご要求にお応えする供給体制構築などのために、3年間の累計で440億円規模の設備投資を行う。

 厚膜抵抗製品は、子会社である鹿島興亜電工の「となみの庄」工場(富山県砺波市)が22年10月に生産を開始、23年10月にはマレーシアの生産子会社が新工場の建設に着手した。薄膜抵抗製品は、増築棟が19年に竣工(しゅんこう)した西山工場(長野県伊那市)に加えて、24年10月には子会社である真田KOAの「真田の郷」工場(長野県上田市)も生産開始予定。これらの投資により、厚膜チップ抵抗器と薄膜チップ抵抗器の生産能力を30年に向けて2倍にしていく。また、長野県箕輪町の本社敷地に研究開発拠点も建設中で、研究開発機能を集約するとともに、製造設備のスマート化のモデル拠点とする。

 xEⅤ化は年々加速し、これに伴う抵抗器需要が、エンジン車と比べ大きく増加する流れも変わらないので、確実にこの機会をキャッチアップしていく。

 目標達成のために私は「本音で議論し、意欲的に挑戦する強いチームづくり」が重要だと考えている。お客さまのご満足のためには、まず社員の働きがいが大切であり、社内での仕掛け、仕組みづくりにも注力していく。