2024.01.16 【半導体/エレクトロニクス商社特集】エレクトロニクス商社 24年の経営戦略 ネクスティエレクトロニクス 柿原安博社長

柿原 社長

積極的に現場の声に耳を傾ける

 ネクスティエレクトロニクスは豊田通商グループで電子デバイス事業の中核を担う。半導体・電子部品の販売のほか、組み込みソフトウエアの開発、EMS事業までを手掛けており、カーエレクトロニクスの分野においては、トップクラスの規模を誇る。

 同社はトーメンエレクトロニクスと豊通エレクトロニクスの統合で、2017年に設立した。

 22年4月に就任した柿原安博社長は「半導体の供給面ではほぼ支障なくなったが、地政学的リスクをどう回避しながら、安定供給を果たしていくかは引き続き難しい課題だ」と気を引き締める。

 顧客への迅速な情報提供のため、サプライチェーンリスクの見える化に取り組む。データ連携基盤「ウラノス・エコシステム」を視野に入れつつ、検討を進めている。

 円安の影響は大きいものの、自動車業界は堅調で23年度の業績は堅調に推移。24年は引き続き、カーボンニュートラルに向けた取り組みを強める。

 豊田通商では再生可能エネルギー事業の「ユーラスエナジーホールディングス」「テラスエナジー」を相次ぎ買収し、再エネ事業を強化した。

 柿原社長は「グループ会社であるこれら再生可能エネルギー会社と協力し、低消費電力のデバイスを供給することで、CO₂排出量の削減に貢献したい」と意気込む。

 自動車業界でのモデルベース開発を支援するクラウド上のモデル流通基盤「moderix」は機能追加をし、さらなる普及を図る。

 海外では期待しているインド市場に本格的に注力する。昨年11月にはバンガロールにテクノロジーセンターを設置し、現地顧客の開発支援を担う。

 中国では合弁会社「上海Huahong Hongri」と共に一層の安定供給実現に努める。

 合併後に入社した社員が大半となる中、座談会などを通じて積極的に現場の声に耳を傾ける機会を設ける。柿原社長は「エンゲージメントが上がってきた」とコミュニケーションを図る取り組みに手応えを感じている。