2024.01.16 【半導体/エレクトロニクス商社特集】エレクトロニクス商社 24年の経営戦略 菱洋エレクトロ 中村守孝社長

中村 社長

盛り上がる生成AI市場に注目

 菱洋エレクトロは「半導体・デバイス」と「ICT・ソリューション」を主要事業領域とし、付加価値の高い商品とサービスの提供に注力している。

 中村守孝社長は、今期の半導体・デバイス事業について「前期から続いたモノ不足はある程度落ち着いたが、スマートフォンやパソコンなどの消費減退の影響でメモリー半導体の動きが鈍かった」と話す。テレビなどデジタル家電向けは需要が伸びた。

 ICT・ソリューション関連は組み込み向けなど好調を維持。マイナンバーカードを保険証代わりに利用できる「オンライン資格確認」の端末導入支援サービスは一定の実績を得た。中村社長は「国や医療機関、診療報酬明細書を作成するレセプトコンピューター(レセコン)のベンダーなどとの関係を築けたのは大きい」と評価。同サービスで蓄積した知見を、今後は介護領域など次のビジネスにも生かしたい考えだ。

 全国の医療施設の数は約23万軒に上る。IT端末の扱いに不慣れな小規模のクリニックも少なくない。中村社長は「製品を売るだけでなく、エンドユーザーの使い勝手を考えたビジネスをするのが商社としての責務」と強調する。

 菱洋エレクトロは生成AI向け半導体で市場を席巻する米エヌビディアの「Jetson」を、産業や医療分野へ向けて提案している。昨年10月には、同社の商材であるJetson搭載の小型エッジコンピューターがコニカミノルタの画像IoTプラットフォームに接続可能なデバイスの認定プログラムに採用。2022年には、最も優れたエヌビディアの一次代理店として表彰されている。

 中村社長は「生成AIはEVと並ぶ大トピック」と市場の盛り上がりに注目。生成AI市場の拡大に伴い、企業のサーバーにおけるGPUの入れ替えや増設の需要増加だけでなく、データーセンター向けビジネスの拡大に期待する。

 4月にリョーサンとの経営統合を目指し準備を進める。中村社長は「24年は統合の成功事例をつくり、シナジーの端緒を示したい」と意気込む。