2024.01.18 【情報通信総合特集】ソリューションプロバイダー 24年の見通し・経営戦略 日立ソリューションズ・クリエイト 南章一社長

ルマーダ推進へ事業強化
生成AI活用の新商材も

 昨年は生成AI(人工知能)に始まり生成AIで終わる一年だった。大きな変革の一歩を踏み出しただけなく相当な加速度で世の中を席巻した。IT市場は堅調に成長する中で、当社の今後を再度考えさせられた。

 日立グループ全体としてデジタル事業の中核に据えるソリューション「Lumada(ルマーダ)」を意識した戦略として、ワークスタイルイノベーション、モダナイズイノベーション、セキュリティーイノベーション、サプライチェーンイノベーション、ペイメントイノベーションの五つを重点事業を推進してきた。

 特にセキュリティーでは、セキュリティー専任技術者(ホワイトハッカー)による高度な支援体制を整えているほか、セキュリティー診断や研修サービスを含めて、日立ソリューションズとも連携して事業強化している。

 一方で、2022年度からの中期経営計画は、コロナ禍収束など市場環境の変化も踏まえて見直すべき事業戦略もあり、検討に着手したところだ。

 生成AIの活用では倫理観や個人情報保護といった問題を整理しつつ、ソリューション事業として24年度には独自性のあるサービスとして打ち出したい。

 昨夏には生成AIのアイデアを社内募集したところ370件が寄せられ、優秀テーマ10件を選んだ。今後内容を精査し事業化につなげたい。

 当社のSI(システム構築)事業のうち7割が製作所など日立グループから受注したシステム開発で、残り3割が直販事業。日立製作所からの受注はクラウド移行などで今後も減少が見込まれるため、直販事業が今後の成長の鍵を握る。そのため取り組みの一つが生成AIであり、その先にはサステナブルな社会への貢献があると考えている。

 そのためにはSIを変革して、品質とマネジメント力を強化しながら生産性を高めていくことが重要だ。

インタビューに答える南社長

 24年度は次期中計策定に向け重要な年。SIとDX、SX(サステナビリティー・トランスフォーメーション)を軸に、新しいことへの挑戦と勇気を持った変革に向け号令をかけていく。

 24年もIT市場は成長が見込まれるが、特に重要になるのがSXだ。3月末までにSXのマテリアリティー(重要課題)を作成し、それを基にSIとDXを進めていく。

 ルマーダを推進するための重点5事業ではセキュリティーとモダナイズが大きな肝になる。生成AIなどを組み込んだ新しい商材も積極的にラインアップに加えてきたい。