2024.01.17 【計測器総合特集】計測器 24年の戦略 各社トップに聞く 共和電業 田中義一社長
田中 社長
衝突試験関係
システム製品で引き合い増
共和電業は今年、創立75周年を迎える。部品の納期問題は上期までにほぼ解消し、業績は増収増益基調で推移する。部品の入手困難に伴う生産遅延を考慮して修正した計画の達成に向け、田中義一社長は「最後まで気を引き締めて計画達成に向けて努めたい」と話す。
主要顧客の自動車業界ではEV化に向けた新車開発が積極的に行われ、同社の強みである衝突試験関係のシステム製品で引き合いが多くなっている。
高速道路向け重量計測システムの大型案件は今期で一段落。今後、環境に配慮した道路づくりに変わると見られ、新たな計測需要にも応えていく構えだ。
工業計測分野では、工場のラインなど設備関係のニーズが順調だ。働き手が減少する中、省力化に向けた設備投資は今後も増えると見て、提案にさらに力を入れる。消耗品の更新や定期的な点検需要といったリピート需要も取り込めば、全体の底上げも可能と見込む。
海外市場では、米国でひずみゲージをプリント基板に貼って応力を測る検査装置の需要が強まった。「EV化で自動車に搭載する半導体が増えればそれに対する検査も必要になる。海外メーカーに比べ当社の対応力も現地で評価されている。より深く入り込むことでもっと市場を拡大したい」と田中社長。
ミニマルファブでMEMSによる製品づくりの体制構築に取り組んできた。今年は開発ツールとして本格的に活用していく予定。将来的には無線機能を備えた小型IoTモジュールなどの製品化にもつなげたい考えだ。
山形の主力工場の生産性向上に向けた設備投資にも着手する。クリーンルームや恒温槽など設備の再配置や省電力・省力化、生産プロセスの見直しなど全体的な効率化を図る計画を進める。ソーラーパネルの設置でCO₂を削減するなど環境配慮型の拠点づくりも行っていく。
コミュニケーションやプロセスを評価する新しい考課制度を今年から開始する。田中社長は「モノづくりに対する考え方などの意識改革を図ってきた。社員のやりがいを高めて、さらなる成長に向け全社で取り組みたい」と語る。