2024.02.07 【テレビ特集】新たな使い方と価値提案が鍵、生活様式の変化に合わせ需要喚起へ

壁掛けなど新たな生活スタイルにつながる提案が重要に

 新型コロナ禍の巣ごもり需要の反動から抜け出せ切れていないテレビ市場。ただ、大画面、高画質・高精細といった従来の訴求に加え、それらの特徴を生かしたゲーム利用や、ライフスタイルを重視した壁掛けの提案などで、需要喚起の動きがテレビ各社で活発だ。価値観が多様化する中、テレビのある生活で、新たな「気づき」を消費者に与えることが求められている。

 電子情報技術産業協会(JEITA)がまとめた2023年(1~12月)のテレビの国内出荷台数は前年比10.1%減の437万3000台にとどまった。メーカーの当初想定よりも低い着地で、巣ごもりの反動だけでなく、新型コロナの「5類」移行による消費行動の変化や物価高なども、需要を押し下げる要因になったとみられる。

 市場で存在感を高める50型以上の大画面テレビは同7.4%減の178万8000台。高付加価値機種として市場をけん引してきた有機ELも53万8000台と同14.5%減り、振るわなかった。

 放送コンテンツの陳腐化や動画配信サービスの普及、視聴端末の多様化などで、テレビを不要と考える世帯が増えたのは事実。住空間の調和やインテリア性を重視し、電源オフ時が「大きな黒い板」ともいえるテレビをデザイン上、リビングに設置したくないというユーザー層も現れている。

 こうした層には、視聴するだけでないテレビの新たな使い方や価値の訴求が鍵を握る。YouTubeといった動画視聴をはじめ、ミラーリンクなどの機能を生かしたスマートフォンの画像共有、パソコン(PC)ゲームでの利用など、リビングにある大画面テレビだからこそ実現でき、家族とも楽しめるエンターテインメント性があるはずだ。

 壁掛けに近い形で設置できるテレビ台もあるため、以前のように「テレビ台の上に置くもの」という単純な概念は、今のテレビに当てはまらなくなりつつある。

 コロナ禍を経験し、家庭内での過ごし方を重視する傾向は強まった。その一要素として、生活を豊かにするものとしてエンタメ性は欠かせない。そこで果たすテレビの役割は、まだまだ大きいはずだ。

パナソニックの主力製品

「ビエラ」MZシリーズ・有機ELの映像美訴求

壁掛け型LW1シリーズで新たな生活提案も

「ビエラ」MZ2500シリーズ

 パナソニックは、微細なレンズを実装して輝度を高めた4K有機ELテレビ「ビエラ」MZ2500シリーズで、有機ELならではの自然光による映像美を訴求していく。

 フラッグシップ機の位置付けとなるMZ2500シリーズは、65V型と55V型の2機種展開。これまで平らなガラスに蒸着していた有機EL発光層をマイクロレンズアレイに蒸着し、レンズに合わせた凹凸形状の発光層により、従来よりも光を効率よく取り出せるようにしている。

 1画素当たり数千個というレンズで約2倍に輝度を高めつつ、年間消費電力は従来機種よりも下げているのが特徴。バックカバー一体型放熱プレートに独自の放熱シートを加えて貼り付ける「デュアルメタルヒートレス構造」で、パネル性能を引き出している。

 マイクロレンズ有機ELに最適化したパネル制御技術「Bright Booster」も搭載。画素ごとのパネル発光状態を管理し、独自の電流制御アルゴリズムで有機ELパネルを駆動。プロの映像制作現場で使用される業務用モニターに近い階調再現を目指したパネルチューニングも行っている。

 地震に強く倒れにくい吸着機能付き「転倒防止スタンド」も搭載。スイーベル(首振り)機能付きで、見やすい向きに変えられる。

 また、新たなライフスタイルを提案するものとして、簡単に壁掛け設置できる55V型4K有機テレビ「ウォールフィットテレビ」LW1シリーズもラインアップする。

 LW1シリーズは、壁から画面までが約3.5センチメートルと薄く、13センチメートル近くあった従来の壁掛けテレビに比べてすっきりした見た目で取り付けられる。4K映像を無線伝送できる独自技術でモニターとチューナーを別にしたことで、アンテナ端子の場所に縛られずに好きな場所にテレビを掛けられる。

 ディスプレーは、高いコントラストと精細感のある4K有機ELを採用。独自のパネル制御と人工知能(AI)を使った画質調整により、コンテンツに合わせて高画質な映像が楽しめる。

 壁と一体感のある設置をしても、音質を損なわないようスピーカーも見直した。画面振動スピーカーを採用し、スピーカーボックスなどを付けずに音を出せる。独自の音声処理技術で一般的なボックス型スピーカーの音質に近づけている。これらの技術革新により、モニター部は全面が薄型にでき、壁と一体になって取り付けられるようにしている。