2024.03.19 【洗濯機特集】量販店・地域店、ドラム式の良さ訴求 省エネ性や機能など特長をわかりやすく伝える
設置性も重要な項目の一つ
量販店
家電量販店では、さまざまなメーカーの洗濯機について、特長を分かりやすく伝える接客に力を入れる。
上新電機西宮ガーデンズ店(兵庫県西宮市)では、省手間、節約、設置性がドラム式洗濯乾燥機購入のキーワードになっている。
節約には幅広い意味が込められており、節電や節水はもちろん、衣類を傷めずに洗濯乾燥するため、長く着用できるようになることも含まれる。
辻野亮一店長は「物価の高騰は厳しい状況が続いているが、お客さまには『高くても良いものが買いたい』という思いが強い」と話す。そのため、機能に納得感があれば、高価格帯でも売り上げにつながる。
縦型洗濯機と比べて、広い設置面積が必要になることが多いドラム式洗濯乾燥機は、設置性も重要なポイントになる。辻野店長は「気に入ったものでも設置できなければ意味がない。設置性が高い商品は、大型が置けないお客さまの受け皿になる」と話す。
アクアのまっ直ぐドラムは、縦型洗濯機と同等の設置面積で置けるため、ドラム式を設置したいというユーザーの思いに応えている。
ノジマ新宿タカシマヤタイムズスクエア店(東京都渋谷区)は、縦型洗濯機よりもドラム式洗濯乾燥機の引き合いが強い。購入のメイン層は30代後半になっている。
西本智宏店長は「マンションを選ぶ時に、ドラム洗を置けるかどうか考える若い世代もいる」とし、「一人暮らしのお客さまの、良いものを使いたいというニーズがある」と話す。
同店の30代手前の世代の社員は、ドラム洗を設置するスペースを確保するために、冷蔵庫を置いていた場所にドラム洗を置いたという。
接客時、実際に使用したからこそ分かる実感のこもった提案をすると、より商品の魅力がお客に伝わる。パナソニックのななめドラム洗濯機の最上位機種など最新のものを購入し、「どのような音がするか、乾燥はどうだったかなどをレポートし合うことを心掛けている」と西本店長。
使用する様子を動画に収め、社内向けに共有しているという。西本店長は「動画で見たものの方が知識として定着しやすいらしい」と話す。
地域店
地域店は、訪問活動と個展などのイベントを活用する。
パナソニック系のS-LINKクボデン カミシバ(埼玉県深谷市、久保彰平社長)は、ドラム式洗濯乾燥機「NA-LX127CL/R」をメインに販売している。
乾燥機能を使わないというお客には、カビが生えにくくなることに加えて、この先、腰痛になってしまったら洗濯物を干すことがつらくなってしまうかもしれないことを伝えているという。こうすることで、乾燥機能が必要なものと認識を変えることができ、商品の魅力がより深く伝えられる。実際、一人暮らしの80代の得意客に販売した。
ドラム洗は、縦型洗濯機よりも節水になる。店でお茶を飲みながら商品の相談をしている際に、お茶の入ったコップを傾けてドラムに例えて説明すれば伝わりやすい。
洗濯機の使用頻度は、大人数世帯や単身世帯では異なり、生活環境によって魅力に感じる機能や性能はさまざま。久保義雄会長の妻・久保香代子さんは「お客さまの生活パターンを知っている方がスムーズに提案できる。街の電器店の強み」と話す。
パナソニック系のスウィートかめみず(大阪市東成区、亀水政晴社長)は、2~3月にかけて、訪問活動の強化によりドラム型洗濯機が継続して売れた。
同店は16、17日に創業75周年を記念した個展を開催した。事前活動として、周年記念の粗品に合わせて、招待状やチラシなども配布した。亀水晴代さんは「対面で配布したことで、祝儀買いや商品注文が増えた」と話す。意識的にお客と接する活動を強化した結果、ドラム型洗濯機などの成約につながったという。
同店では各商品の中、上位モデルを中心に在庫を確保し、提案活動を強化。提案機種を固めることで、売りたい商品をタイムリーに届けている。このスタイルを今後も維持し、ドラム型洗濯機やエアコンの上位モデルなど販売に注力する。