2020.04.24 チノー 赤外線サーモグラフィ「危機管理」に対応、 企業・団体のBCP対策で体表面温度監視活用

吉田 専務

サーモビューサーモビュー

TP-UシリーズTP-Uシリーズ

 新型コロナウイルス感染拡大に対応する緊急事態宣言の対象地域が全国に広がるなど、事態収束の見通しは依然立っていない。

 危機管理への懸念が広がる中、チノーは企業・団体のBCP(事業継続計画)対策の一環として、体表面温度監視システムの導入を促す取り組みを進めている。

 赤外線サーモグラフィの発熱スクリーニングで入室・入館管理ができるタイプ別の製品シリーズを用意。ユーザーの用途や使用環境に合わせた提案を行い、事業継続の啓発と自己管理の周知徹底に寄与したい考えだ。

非接触で発熱者発見

 ユニット形体表面温度チェッカ「TP-Uシリーズ」は、非接触で体表面温度を簡便に測定して発熱者を発見できる設置型製品。レンズに顔を近付けて3秒で結果が表示される。設定した警報温度以上の場合、赤ランプが点滅。感染症の疑いのある人を判別し、体温計での検温を勧めるなどの二次感染防止対策につなげることができる。

 感染拡大の危機感が高まった2月以降、爆発的に引き合いが増え、測定温度の補正値を手動で設定するタイプは現在受注を停止中(6月に受注再開の予定)。一方、設定したサンプル数の測定データから測定温度補正を自動算出するタイプは、山形事業所(山形県天童市)で2交代のフル稼働で引き続き受注に対応している。

 体表面温度発熱監視装置「サーモビュー」は、3月に発売した固定型で、スクリーニング対応機種としては最もハイスペック。社員用入り口や企業の受付などで1人の測定場面に対応するTP-Uに対し、テーマパークや空港などを訪れる不特定多数の人の中から発熱を同時に検知できる。フレームレート60ヘルツの高速画像処理で歩行者に追従しての判定が可能。ゲート開閉などセキュリティシステムと連動した運用もできる。

 自社開発製品のほか、複数人を同時に測定できる上、軽量なハンディタイプのフリアー社製熱画像カメラも取り扱う。内蔵可視カメラの画像と合成して物体をより認識しやすくする機能やWⅰ-Fⅰ接続の通信機能などを備えた多様な機種を用意した。

 これら簡易汎用タイプから高機能製品、据え置き型から携帯型まで、ユーザーの様々な測定環境に対応するスクリーニング製品を各種そろえ、提案に努める。民間だけでなく、自治体や警察など官公庁関係からも問い合わせが多く、幅広い需要に応えるため生産態勢を調整中だ。

水際で食い止める

 近年、サーズ(重症急性呼吸器症候群)や新型インフルエンザなど、感染症に伴う非常事態が少なくない。事業活動を継続させるため、企業や団体にはウイルスのまん延を防ぎ、集団感染を水際で食い止めることも視野に入れたBCPの取り組みが一層求められている。

 吉田幸一取締役専務執行役員は「新型コロナウイルスは終息しても、体表面温度監視システムを日ごろから備えていれば、関係者への日常の注意喚起に役立ち、BCP対策にもなる」と話す。