2024.05.09 JALと三菱重工、被雷回避判断支援サービス使用契約 航空機の安全・運航効率向上へ

被雷回避判断支援サービス「Lilac」のイメージ

 日本航空(JAL)と三菱重工業は、航空機の被雷予測を高精度に行うことができる被雷回避判断支援サービス「Lilac(ライラック)」の使用契約を4月2日に締結した。

 国内での航空機への被雷は年間で数百件発生しており、機体が損傷することもある。特に複合素材機であるボーイング787型機やエアバスA350型機は修理過程が複雑で、修復完了までに長い時間を要することから、スケジュール遅延による経済的損失を含めると、国内では年間約数億円規模の損失が計上されている。

 JALと三菱重工は、機体を被雷から守ることで、安全・運航効率を向上させることを目的に19年から共同研究を開始した。研究により、航空機が帯電した雲に近づくことで引き起こされる雷により被雷することが分かってきたことから、JAXAの被雷危険性予測技術の知見を得て、三菱重工が気象庁の配信する最新の観測データを基にAI予測モデルを独自開発し、共同研究を通じて飛行中に被雷の可能性が高い位置を高精度に予測できるようになった。

 また、「誘発雷の可能性」の判別が容易なJALと三菱重工が特許技術を取得したアスキーアートレポートを地上運航従事者が機上のインターネット環境に依存しない、既存システムであるACARS(操縦室と地上との空地通信)を活用した通信を使用し送付することで、パイロットが必要かつ十分な情報を、一目で把握できる被雷予測を提供することが可能となった。(10日の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)