2024.05.23 「オーガニック成長とM&Aの両輪」 26年度で売上高2.5兆円 TDKが新中計

計画を説明する齋藤社長

 TDKが、2027年3月期を最終年度とする新中期経営計画を策定し、売上高2兆5000億円、営業利益率11%以上、事業ROA(ROIC)8%以上を掲げた。同時に、目指すべき長期ビジョンも定め、持続的な成長に向けた方向性を示した。

 TDKは22日、東京都内で説明会を開き、新中計と長期ビジョン「TDK Transformation」を発表。齋藤昇社長は「当社のコア技術により、サステナブルな未来に向けての変革を加速する」とした上で、「事業ポートフォリオマネジメントを強化し、ROIC・WACCスプレッドを高め、財務資本効率を高める経営を強化する」などと説明した。

 長期ビジョンでは①社会のトランスフォーメーションへの貢献②TDKのトランスフォーメーションの加速――の2つのサイクルを重視。GX(グリーントランスフォーメーション)やDX(デジタルトランスフォーメーション)などが進む中、「オーガニック成長とM&Aの両輪で、『材料×プロセス×ソフトウエア』を組み合わせた電子デバイス領域でのリーディングポジションを確立する」(齋藤社長)とした。

 新たな中計は、「長期ビジョン実現のための事業基盤強化の期間」(齋藤社長)と位置付ける。事業別には、受動部品は車の電動化や電装化トレンドに合わせて生産能力を拡大。センサ応用製品は「マーケットイン」活動と「コンセプトアウト」の事業アプローチを確立し、注力市場で高いシェアの実現を目指す。

 磁気応用製品は、MAMR技術での優位性維持に加え、生産能力とオペレーション体制の最適化で年率10%の売り上げ成長を目指す。エナジー応用製品は、小型二次電池でのナンバーワンポジションを維持し、26年度にはROIC18.0%を目指す。

 新中計のキャピタルアロケーション方針は、3ヵ年累計約1兆円の営業キャッシュフロー(CF)を見込む。このうち7000億円を設備投資に充当。1500億円を戦略投資として、M&Aやベンチャー投資に充てる。

 同社の根幹を支える磁性材料フェライトを軸とする「フェライトツリー」を進化させるために、グループ横断でマーケティング、イノベーション、インキュベーション力を強化する。「現状のビジネスを強化しながら、さらに先の領域を探索、研究開発し、コアテクノロジーを磨き上げることで、フェライトツリーを大きく進化させていく」(齋藤社長)。