2024.06.26 「GPT-4」超える“国産”生成AI スタートアップのイライザが開発

GPT-4などを上回るLLMの性能も公開された

 KDDI傘下で生成AI(人工知能)開発に取り組む東京大学発のスタートアップ「ELYZA(イライザ)」は26日、米オープンAIの大規模言語モデル(LLM)「GPT-4」を上回る性能を持つというLLMの最新モデルを公開した。性能の指標となるパラメーターは700億で、米メタの「Llama3」をベースに構築。日本語による執筆や情報抽出の性能に優れた国産モデルとして、企業向けに提供する。

 イライザは、国内AI研究の第一人者である東大・松尾豊教授の研究室出身の曽根岡侑也CEOらが2018年9月に設立。今年4月1日からKDDI子会社となり、国内最大規模の国産LLMの研究開発に取り組んでいる。

 最新モデルは日本語を対象とした「ELYZA Tasks100」と「Japanese MT-Bench」の2つの性能評価でそれぞれ「4.07」「9.075」と国内最高精度を達成。それぞれGPT-4や、グーグルのGemini1.5Flashといった世界の主要モデルも上回る結果を示した。

 曽根岡CEOは「スタンフォード大生を連れてきて日本語を教えるようなもの。Llama3が優秀だったこともあるが、元々のモデルから独自の学習で日本語性能を高めることに成功した」と胸を張る。

 同時に80億パラメーターの軽量モデルも発表。個人パソコン(PC)や車載用などエッジデバイスで使えるよう商用利用可能な形で一般公開する。

 開発費用は数千万円。曽根岡CEOは「KDDIグループに入ったことで財務基盤が安定した。計算機代を自分たちで稼いでいたこれまでから、大胆な投資がしやすくなったのは鍵だった」とし、将来的には、汎用LLMを足掛かりに業界や企業、タスクに焦点を絞った特化型LLMの開発を目指す方針を示した。

(28日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)