2024.07.09 【家電総合特集】後半戦の取り組み アキュフェーズ 鈴木雅臣社長

純A級アンプ新製品など好調

イベント積極参加でアピール

 今年前半の販売状況は、国内外とも好調に推移した。原動力となったのは、2022年11月発売の「インテグレーテッド・ステレオアンプE-4000」と23年10月発売の「純A級ステレオ・パワーアンプA-80」、23年11月発売の「プレシジョンMDSD SA-CDプレーヤーDP-770」だった。

 いずれの機種も生産が追い付かず納期が遅れてしまいお客さまに迷惑をかけてしまったが、お客さまだけでなく、お客さま対応した販売店の皆さまには心より感謝している。

 このような中だったが、4月に発売した「純A級プレシジョン・インテグレーテッド・ステレオアンプE-700」が好調に推移している。E-700は、17年発売のE-650の後継機だが、創立50周年記念モデルE-800の技術を踏襲し、音楽性、信頼性、機能性を追求した。

 従来機種にも搭載したボリューム・コントロール回路「Balanced AAVA」に加え、雑音とひずみを打ち消す独自技術の「ANCC」を搭載し雑音を10%低減した。

 純A級動作のアンプは発熱が大きいため出力電力を増やすのは難しいが、E-700はパワーアンプ最終段のMOSFETを4パラレル・プッシュプルにしたことで、8Ω負荷の出力を30Wから35Wに増大させた。さらに、ダンピング・ファクターを1000へ高め、フラッグシップのセパレート型パワーアンプと同等のスピーカー駆動能力を持たせた。E-700も生産が追い付かない状態だが、お客さまとの約束の納期を必ず守りたい。

 6月には「ディジタル・チャンネル・ディバイダーDF-75」を発売した。チャンネル・ディバイダーは、マルチウェイ・スピーカーの各ユニットを直接パワーアンプで駆動するマルチアンプ・システムに使われる製品だ。

 当社は1976年以来、多くのチャンネル・ディバイダーを発売してきたが、99年発売のDF-35からデジタル信号処理でフィルター機能を実現している。DF-75はデジタル信号処理化した5世代目の製品になる。

 従来機種のDF-65からはA/D、D/Aコンバーター回路の低雑音化を図るとともに、フィルター周波数の設定数を59ポイントから3101ポイントへ増加し、内部演算も40ビット浮動小数点から64ビット浮動小数点処理へ変更。発売当初からチャンネル・ディバイダーとしては異例の台数を出荷できた。

 今年後半に向けては「東京インターナショナルオーディオショウ」が7月下旬に東京国際フォーラムで開催される。このショウを後半戦のスタートとし、各地のイベントに積極的に参加して、対面でお客さまに製品をアピールしていく。