2024.07.09 【家電総合特集】洗濯機 ドラム式が市場支える 省エネ性や使い勝手も進化

洗濯乾燥機の中でもドラム式洗濯乾燥機が注目されている

 洗濯機は近年、節水性や乾燥性能に優れたドラム式洗濯乾燥機が注目されている。洗濯機の総需要はこのところマイナス成長となっているものの、付加価値の高いドラム式が市場を支える格好だ。

 洗濯機市場全体では洗濯乾燥機が3割を占める。この洗濯乾燥機の中で、ドラム式洗濯乾燥機の構成比が着実に高まっている。

 節水性や乾燥性能、デザイン性、乾燥時にヒートポンプを活用することで省エネ性向上をはじめ、洗剤・液体柔軟剤の自動投入機能搭載など使い勝手の良さも含め、市場ニーズに応える総合的な商品開発が活発だ。

 ドラム式洗濯乾燥機は、清潔・快適志向や省家事ニーズが強まる中、今後も安定した需要が見込めそうだ。

 ■ドラム式は堅調に推移

 洗濯機を含め、家電製品全般をとりまく環境は、物価高騰などを背景に厳しい状況が続いている。洗濯機では2023年度の出荷台数は全体が前年度比96.7%の415万台で、3年連続マイナスとなった(日本電機工業会〈JEMA〉調べ)。

 このうち、洗濯乾燥機も同96.2%の115万7000台にとどまっている。ただ、この中でドラム式洗濯乾燥機は同101.9%の95万9000台とプラスで推移、年度としては4年連続で過去最高の出荷台数を記録した。

 JEMAの24年度通期での見通しでは、洗濯機全体ではほぼ横ばいから前年をやや下回る予測ではあるが、ドラム式洗濯乾燥機については、堅調な推移に期待がかかる。

 3割を占める洗濯機総需要の中で、ドラム式は現在8割以上となっており、洗濯乾燥機の中で、主力商品となっている。

 ドラム式洗濯乾燥機は、共働き世帯の増加や高齢化などを背景に家事省力化へのニーズが根強い中、洗濯から乾燥まで一気に仕上げる利便性があり、節水性、乾燥性能に優れ、衣類の仕上がりも良いなど、ユーザーメリットを訴求しやすい。

 中でも省エネ・節電への関心が高まっており、省エネ性に優れたヒートポンプ乾燥方式の搭載機種は提案しやすい環境にある。

 ドラム式洗濯乾燥機は使い勝手も進化している。近年では液体洗剤・柔軟剤自動投入機能の搭載やIoT化の流れが進んでいる。

 また、乾燥フィルター自動清掃などメンテナンス性の向上、イオン搭載による衣類の除菌・消臭、静音性、デザイン性の向上といった、総合的な商品戦略でニーズに応える。