2024.07.12 【電子部品技術総合特集】研究開発の取り組み メイコー 名屋茂取締役常務執行役員パワーエレクトロニクス本部長
名屋 常務
顧客満足の高い開発へ
最終製品のニーズに対応
メイコーは、プリント配線板の設計・製造技術を軸に、EMSやロボット・FAシステム・映像機器の設計・開発・製造なども手掛ける、総合エレクトロニクスメーカーとして事業を拡大している。
名屋茂取締役常務執行役員パワーエレクトロニクス本部長は、プリント配線板の研究・開発の取り組みについて、「顧客に寄り添い、顧客に満足していただける開発を心掛けている。シーズ志向の技術開発も一部取り組んでいるが、基本的には最終製品のニーズに対応した開発を主体に活動している」と話す。
主な開発テーマとしては、研究開発センターでは各種放熱基板の技術開発に重点を置き、本社商品技術部では、部品内蔵基板や高周波基板、パッケージ基板の実用化に向けた開発を進めている。
本社生産技術部は、傘下に海外技術センターがあり、ここでは、全社的な技術のグローバルでの横展開や、中高多層基板の技術開発に取り組んでいる。「海外技術センターは、中国人を中心とした組織を編成している。地域ごとにトレンドが異なることなども踏まえながら、中国で開発した技術のベトナム工場への移管なども行っている」(名屋常務)。
また、同社が2023年秋に立ち上げた新工場の「天童工場」(山形県天童市)には、研究開発拠点としての設備が整備されている。
同社は、部品内蔵基板や放熱基板の技術開発を進めるとともに、部品内蔵基板と放熱基板の組み合わせによる技術開発に注力している。「これらの両技術を保有する基板メーカーは世界的にも希少で、当社の強みだと考えている」(名屋常務)。
他社とのコラボレーションでは、材料メーカーとの連携や、設備メーカーの協力を得ながら新たな技術開発を進めている。産学連携は、実績は少ないが、「今後新たに立ち上げる検討を進めている」(名屋常務)という。
先端技術開発では、「先端材料の動向には、常にアンテナを張ってウオッチしている」(名屋常務)とし、グラフェンやカーボンナノチューブをはじめとする高性能素材などにも着目しているという。
脱炭素/カーボンニュートラルへの対応では、同社は、放熱性に優れた基板開発を強化しており、これにより、信号を効率よく流すことができるため、消費電力削減に寄与している。また、樹脂材料リサイクルに向け、材料メーカーや日本電子回路工業会(JPCA)などとの連携に努めている。