2024.07.12 【電子部品技術総合特集】研究開発の取り組み バイコー 水谷豊シニアアプリケーションエンジニア
水谷エンジニア
強み生かし顧客に貢献
カスタマイズなどにも対応
バイコーは、AI(人工知能)・データセンター、インダストリアル、自動車、通信、航空宇宙防衛などを重点とし、顧客の技術革新に貢献している。電源専業メーカーとしての高い技術とノウハウを生かし、小型、高効率、高電力密度の電源製品を供給する。
同社は米国マサチューセッツ州に本社を置く、電源コンポーネントの専業メーカー。1981年の創業以来、開発は米国本社で集中的に行っている。世界各国の顧客からの開発ニーズを本社にフィードバックし、地域特性を踏まえて幅広い製品開発を展開している。
技術を軸とした経営の歴史を生かしつつ、市場の要求と顧客のニーズを取り入れることで新製品開発を強化する活動「カスタマー・セントリシティ」にも力を入れている。
日本法人で開発案件に携わる水谷豊シニアアプリケーションエンジニアは「日本法人では顧客のニーズをくみ取り、本社の開発部門と事業部と製品化について議論を重ね、顧客の仕様に合わせた細やかなカスタマイズにも柔軟に対応する。特定顧客と共同開発するケースでは、当社の強みである小型、高効率の電源技術を生かし、顧客の製品開発に貢献する」と話す。
自動車向けの開発は、電気自動車(EV)充電向け400~800V高電圧変換システムなどが多い。インダストリアル関連においては、小型化、高密度化に関わる開発テーマが多く、限られた設置面積の中、装置に高機能を付加することが求められる。
ほかには、回生エネルギーを有効活用するために双方向電圧変換が求められる。23×17×5・2ミリメートル、9グラムと非常に小型で1kW出力のNBMシリーズなど、絶縁、非絶縁の豊富な双方向コンバーターのラインアップで、顧客の要求に応える。
水谷エンジニアは「AI・データセンターや航空宇宙防衛分野は、欧米にリーディング企業が多いが、日本でも需要はあると見込んでいる。当社にはAIアクセラレーターやネットワークシステムに適した、1V以下の低電圧・1000Aの大電流に対応する電源や、衛星向けの耐放射線製品、SOSA・VITAなどの防衛準拠電源など多岐にわたる製品がある。圧倒的な電源技術力と多用途に対応できる製品ラインアップによって、引き続き日本市場の需要に応える」と話す。