2024.07.19 【やさしい業界知識】ケーブルテレビ
地域に密着したメディア
DXを担い、経済活性化に貢献
ケーブルテレビ(CATV)は、地域を支える総合情報通信インフラとして、安定的な放送・通信サービスの提供をはじめ、地域に密着したメディアとしての情報発信、ICTを活用した地域の活性化・地域DXの実現のために、重要な役割を担っている。
地域DXの担い手、地域DXを支えるプラットフォーマーへと変革を続けるCATV事業者は地域との共通価値創造を図るとともに、地域経済の活性化に貢献している。
1955年に群馬県伊香保温泉における地上放送の難視聴対策として誕生したCATVは、現在に至るまで、多チャンネル放送サービスに加え、インターネット、固定電話、MVNO(仮想移動体通信事業者)、電気・ガス小売りなどのさまざまなサービスを提供している。
4K8Kの再放送
放送サービスには、地域ニュースや地域情報を放送するコミュニティー放送、地上デジタル放送の再放送、BSデジタル放送の再放送、専門多チャンネルのCS放送サービスを提供している。2018年12月からは4K8K衛星放送の再放送も開始している。
通信サービスには、インターネット接続サービス、電話サービスなどを提供するとともに、地域によっては公共機関の地域情報インフラとしても活用されている。
加入世帯数
総務省によると、23年3月末で、ケーブルテレビに加入している世帯数は、約3162万世帯で、世帯普及率は約52.5%となり、国内の総世帯数の半数以上がケーブルテレビを経由してテレビを視聴している。さらに、自宅近辺までケーブルテレビの幹線が敷設されて、申し込めば直ちに加入できる世帯数というホームパスは、総世帯のうち88.4%の5280万世帯となっている。
CATV業界では日本ケーブルテレビ連盟、日本CATV技術協会、日本ケーブルラボといった3団体が中心になって、CATV技術者の育成やCATV事業者の技術課題などを共有し、業界をけん引している。
昨今の人口減少や少子高齢化、若者のテレビ離れ、ネットフリックスなどの動画配信サービス事業者の台頭など、CATV業界を取り巻く環境が大きく変化した。このような激動の時代の中、ケーブルテレビ業界が地域とともに成長し、さらなる発展を遂げるため、日本ケーブルテレビ連盟は21年6月に、30年に向けて業界が担うべきミッション、目指すべき姿およびアクションプランとして「2030ケーブルビジョン」を策定した。「地域DXで地域を豊かに、人々を笑顔に」をミッションに掲げて、「放送」「コンテンツ」「ネットワーク」「ワイヤレス」「ID」「サービス・ビジネス」の6分野を、30年までに目指すべき柱にし、業界連携をもって新たな事業領域の創出に取り組んでいる。
2030ケーブルビジョンの発表から3年がたち、この間のテクノロジーの進歩など周辺環境の変化やアクションプランの進捗(しんちょく)なども踏まえ、23年6月に「2030ケーブルビジョン第2版」として改訂版をリリースし、戦略推進・ID利活用推進・地域ビジネス推進など、各委員会体制を刷新して推進体制の強化を図っている。
(おわり)