2024.07.22 飲める氷「アイススラリー」 手軽に作れる冷蔵庫開発、熱中症対策に シャープ
開発中の「アイススラリー冷蔵庫」
シャープが、氷よりも飲みやすく、飲料水よりも効果的に体を冷やせる「アイススラリー」を簡単に作れる冷蔵庫の開発を進めている。猛暑や熱中症対策の一環として製品化を目指しており、今夏から実証実験に乗り出した。500ミリリットルのペットボトル約35本を収容できる小型サイズを想定している。
同社は、新規事業として暑熱対策ソリューションの拡充に力を入れている。第1弾として、液晶技術をベースに開発した「適温蓄冷剤」のテスト販売を今夏から開始。第2弾として開発中なのが「アイススラリー冷蔵庫」だ。
アイススラリーは、微細な氷と液体が混合した流動性のある氷。氷よりも飲みやすく、飲料水よりも効果的に体を冷やせるのが特徴だ。氷が融ける時に熱を奪い、体の中から冷やし、短時間で深部体温を下げることができる。作業やスポーツの短時間の休憩の間に、効果的に体を冷やすのに最適だ。
開発中のアイススラリー冷蔵庫は、氷点下5~7度の冷却制御を行い、凍り始める温度を下回っても氷にならず液体の状態を保つ「過冷却」の状態を作り出す。この状態にある液体は、ペットボトルを強く振るなど刺激を与えることで、一部が結晶化して微細な氷となり、液体と微細な氷が混合したアイススラリーとなる。
シャープは、市販のスポーツ飲料で成分が似た特定の銘柄を指定して運用することを目指し、アイススラリー冷蔵庫を開発中だ。取り出してすぐに飲用でき、飲料を16時間入れておけばアイススラリーを作れる。建設会社や土木会社、スポーツクラブで今夏から検証を進めている。
開発を手掛けるSmart Appliances & Solutions事業本部事業戦略推進部の水野琢馬課長は「まずは建設・土木現場、スポーツ現場での利用を想定している。検証は9月末まで進める」と話す。
製品化後の販売形態は、レンタルも含め検討中とし、さまざまな視点から市場性を探っていく構えだ。
(後日電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)