2024.07.25 【半導体/エレクトロニクス商社特集】トレックス・セミコンダクター FAEで積極的に技術サポート
木村 社長
トレックス・セミコンダクターは、得意とする小型・省電力・低ノイズ技術を生かし、付加価値の高い電源ICを提供している。厳しい市場環境の中でも「開発ファースト」「営業力強化」を掲げ、新たな体制を構築。技術サポートを拡充し、需要の立ち上がりに備える。
昨年から続く在庫過多の状況は一部解消されつつあるものの、依然として需要は力強さを欠く。FA・産業機器関連では設備投資需要も伸び悩み、本格的な需要回復には時間を要すると見込む。
そうした状況の中、同社はFAEによる技術サポートを強化しており、4月、マーケティング部にFAEグループを立ち上げた。FAEによる積極的な技術サポートを通じて顧客の課題を吸い上げ、解決策を早期に提案していく。
木村岳史代表取締役社長執行役は「FAEによる技術サポートの強化は、営業力の強化につながる。顧客が困ってから動くのではなく、エンジニア目線で解決策を提案する。伸びていく市場に対し、積極的に取り組んでいく」と話す。
開発力の強化にも力を入れる。中高耐圧・大電流製品を中心に開発を進め、新たな市場での拡販を目指す。
2月に発売した降圧DC-DCコンバーター「XC9702シリーズ」は、パワーデバイスの注力製品。60V高耐圧動作で世界最小クラスの実装面積(9.4×7.4ミリメートル)を実現した。
今後大きな成長が期待されるSiCへの取り組みも加速する。昨年市場に参入したパワー半導体事業をさらに拡大させるため、昨年11月に「パワー半導体事業推進部」を開設した。子会社フェニテックセミコンダクターと連携し、SiC製品を展開していく。昨年にはフェニテックが開発したSiCを用い、850V/10Aのショットキーバリアダイオードの出荷を開始した。MOSFETの開発も進めており、2024年度中のサンプル出荷を目指す。
「今後、市況は緩やかながら回復に向かう。需要が立ち上がった時に備え、体制を整えたい。来年は創業30周年。再編も多い半導体業界でブランドを守り続けるのは大切なこと。さらなる成長を目指す」(木村社長)。